基準なき保険治療(鍼灸、療養費の支給)について反対の立場です。
ども、からだのエンジニア&からだの専門家 鍼灸師&整体師 藤井崇次(泰心堂)です。
おかげさまで、三月より始めました”体験会”、Ver.2もお客様より高評価をいただきました。残すところあと1週間弱、というか施術日で考えるとあと二日なんですけどね。ちなみに申し込みは30日分までは受けますので、予約→5月の予約(※1日、2日をご案内中)をしていただけると有効にはしておりますのでまだという方は話のタネにどうぞ。ええ、自信ありますから土産話になるでしょう。
さて、本題。
基準なき保険治療(鍼灸、療養費の支給)について反対の立場です。
ええ、これ、実は自分の所属する鍼灸師会に対する真っ向反対の意見なわけです。
愚かにも、保険取り扱いを増やすように指導をする上層部に対して、正直不信感しかありません。それよりも認知度が低い、効いている実感がない、本当によくなるのか不安というもっと基本的な問題に対して対処すべきだと思いますね。
これだけ、現代医学の方の体に対する理解が深まりつつあるご時世に、からだの中身のことがわからなかった時代の経験則を無理やり当てはめようというのは無理があります。もちろん検査器具もなかった時代に、ひたすらに患者に向き合い真摯に施術し、経験知を集積し、残し、託し続けた先達たちに畏敬の念は持つべきですし、時に命懸けの伝承により現代まで残っていることは頭が下がる思いです。
さて、基準なき保険治療というお話をする上で大事なことは、基準って何か? って話です。
この基準は、
1.医師による医療行為を邪魔するものであってはならない。
2.顧客(患者)にとって鎮痛、治癒などの期待値が高い水準で確保される合理的なものでなければならない。
3.その費用が妥当なものでなければならない。
4.基準を満たす術式でなければならない。
5.その成果を明らかにしなければならない。
などの条件が満たされるものであるべき。
こと、鍼灸の療養費支給基準は、医師の同意書を必要とする以上、医師に主導権があり、必要な要件を満たすものであることは前提条件。
医師の職分からすれば、ここの自称東洋医学者及び鍼灸師の流儀流派などどうでもよいこと。そうではなく、想定した手続きが行われ、その結果がどうであるかが判断できる状態であることが望ましい。
つまり、標準の術式、刺激箇所、刺激方法を定めるべきである。
たとえば、腰痛患者。基準は疼痛などにより日常生活困難状態にあるものである。ちなみにうちでは腰に一切触らずに卒業(施術終了)までもっていくことなんてざら。
しかしながら、これは、現代医学が想定している療養費対象の施術であるかと言えば、合理的に考えて否。バックグラウンド的には、アプライドキネシオロジーやアナトミーチェイン、筋膜理論や経絡・経筋論などが絡み合っていたり、旭川の吉川先生の陰陽交差理論や徒手調整術の四肢誘導調整法やVIM療法なども絡んでいたりしますが、それはあくまでもバックグラウンドの話。
医師が想定している鍼灸施術は、疼痛抑制(鎮痛効果)と筋の生理学に基づく当然に起こりうる結果のみ。
つまり、疼痛部位に対する刺鍼、施灸である。これは鍼灸業界では局所療法、局所処方と言われるものである。これらは外部刺激による痛覚閾値の上昇、筋の生理学的性質などにより証明されている部分があるから、妥当性が高い。
なお、本来の意味での標治方とは異なるので注意が必要である。
まあ、痛いと言っているところかつ医師の指示する領域内に鍼を刺せ、灸をすえろという要求なわけで、鍼灸師の独創性などは必要としない。
当たり前である。なにせ、”保険治療”なのであるから、画一的な施術とその結果を享受できることの方が大事。独自性のある施術がしたければ、自分の名前で、自分の責任で、自分の集客力で自由診療をすべき。
これって病院でも同じでしょう? 独自療法って基本的に自由診療ですからね。
なんで、こんな話になるかというと、以前、基準に従って施術をしていた鍼灸師が、ローラー鍼(医療器登録されている)を一撫でして鍼一術と書類上計上していたことについて問題が提起されたからである。
勘違いしないでほしいが、一撫で効果が出たのであれば、それは鍼術として有効と言えるし、一撫ですることで灸の効果が高まったというのであれば相乗効果(シナジー効果)があったと考えるべきことではある。た、だ、し、それが想定されている保険治療の範囲かどうかは一考の余地があるということ。
ちなみに条件さえ合えば、関節可動域の適正化などの結果を、私はローラー鍼一撫でだす自信はある。
ええ、今日もデモンストレーションで足の可動域の改善という結果を見せつけたしね。
まあ、それはそれとして、
要は、施術のパターンを定め、施術個所を限局するということは、施術結果の均一化と施術方法の結果から見る改良、そして施術者の保護というメリットが生じるということ。あとは施術部位を限局することで、鍼灸院の経営を圧迫しない。
そこに鍼灸師個々の独自性などは要らないし、認めてはいけない。
※療養費対象施術(保険治療)では、”全身調整”やら”東洋医学に基づいた全人的調整”などは行うべきではない。首なら首、腰なら腰と部位を限局し、施術方法も選択方式し、均一化を図る。でなければ一律の施術報酬である意味がない。
しかるに、現状どうかというと、割引券扱い。
「同意書もらってくると、5000円の施術が一割の500円の負担でできます」って言われました。
はい、これうちのお客様から伺った、ご友人のお話。
これ明確に嘘。医師会、保険組合との話し合いにより。基準となる一術、二術の療養費施術の金額(2術で1600円程度)が決まっていて、旧来の制度ではその全額を支払ったのち本人が加入の保険組合に申請してあとで相当額が戻ってくる。(償還払い)。今年始まってしまった代理受領方式は窓口で一部負担、鍼灸院側が該当の保険組合に申請して残りの施術報酬を受領する形になる。
決して、そのへんの鍼灸院が適当に決めた施術料が割引になるわけではない。
ちなみに、施術料を高く設定する、安く設定するのは経営者の責任と事業計画においてしていることであり、顧客の事情とは何ら関係がない。
たとえば、施術料一人1回2000円の設定でも、損益分岐点を大幅に超える経営は理論上可能である。つまり、皆さんお好きな”営業努力”で何とかなる範囲であり。わざわざ保険を悪用する必要性などない。
安くなければ患者さんを集められない鍼灸院であるのならば、安い施術報酬で人を集めなくてはならない。
ただ、それだけのこと。
そんな事情は顧客(患者)には一切関係がないし、責任もない。
保険治療(療養費対象施術)は、正しく患者のためにあるべきものであり、鍼灸院経営のためにあるのではない。
こういうことを書くと、「つぶれてしまったら顧客のためにならない」などというつまらないこという人も出てくるが、明確に否。潰れたのであれば患者さんにとって認知されていない、通う価値がない鍼灸院であるという証左であり、淘汰され良質なあるいは営業が上手な鍼灸院が残るのは顧客(患者)にとってメリットでしかない。
※営業上手な鍼灸院は顧客に選ばれるためにサービスの品質を常に見直し、良質化を重ね、使い方を提案するものであるから。
さらには、同意書を用いて施術した結果について、鍼灸院名、あるいは鍼灸師名が実名で公開されないのも半ば公的な資金を投じている保険治療には不適当である。
当然に、その名と責任において結果を公表され、評価されるべきである。
少なくとも自分が加入している健康保険組合の資金が適正に運用、使用されているかを知ることは加入者の権利だと思います。
それが嫌なら、自分の名で、責任で、自ら求め提案する施術を設定する報酬で提示しろってことですね。
私は、鍼灸院での療養費取り扱いを公式に取りやめすべきだと思います。また、同様に接骨院における療養費取り扱いもまた公式にやめ、病院に一本化。
我々は我々で自由競争の市場を各自の才覚と技量と人脈と運とで切り開き、評価され続けるべきだと思います。
これって、一般企業と同じことなので、ことさらおかしなことではありません。
ちなみに私のサロン、泰心堂はりきゅう院(泰心堂プロジェクト 鍼灸サイド)では該当症状の専門医の同意書をお持ちいただいた場合、償還払いのみ対応します。
※必要に応じて近隣では習志野市第一病院など専門的な検査と診断がなされる可能性が高い病院での診察、あるいはセカンドオピニオンを推奨しています。
施術方針は、療養費対象施術については、同意書に指示された状態に対して、初回の施術時、または適宜、部位を限局したうえで鍼灸を用いた鎮痛と筋緊張的成果を狙った局所に対する施術。施術時間15分程度のみを提供します。
泰心堂独自方式については、療養費対象施術外として、設定した施術報酬の全額を都度いただきます。
最後に、なんで今回こんな話になったかというと、近隣の鍼灸院で「療養費を使うと安いから」という理由で施術を繰り返し受け、原因不明の絶え間ない激痛を伴う背部痛により強力な鎮痛薬が手放させない状態にある患者さんのお話をうちの顧客から聞かされたことに起因します。
もちろんその鍼灸院の施術が適正であったかどうかは私が判断すべきことではありませんので、しませんが、少なくとも通っていた本人およびお話しいただうちの顧客には不適当な施術を受けていたのではないかと疑いを受けているという事実はあります。
これらは鍼灸院経営者としては他人事としてではなく、よく考えるべき問題です。
今日はこの辺で。
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