質問に答えます。その90:KHTとコロナ後遺症対策
ども、からだのエンジニア&からだの専門家 鍼灸師&整体師 泰心堂こと藤井崇次です。
少し時間があるのと変わった質問をいただいたので、返答したいと思います。
まずは質問に答える前に、私こと泰心堂 藤井崇次は練馬区 こまつ鍼灸院 小松隆央先生より『こまつ式高麗手指鍼術』を名乗ることを許されております。しかしながら、当方ではその指導は致しておりません。
よって手法自体、講習については小松式高麗手指鍼研究会の方へコンタクトを取ってください。
さて、ではまず簡潔にKHTとは柳泰祐氏により提唱された、手のひらを用いた全身調整を主眼とする鍼灸術 『高麗手指鍼術』のことを指します。
朝鮮半島における三医聖の一人 舎岩道人の『五行鍼』を基本とした韓国鍼灸をベースに構築された比較的新しい鍼灸術です。
※日本鍼灸における五行論的処方とは異なる部分があります。
ざっくりとその療法を解説すると
1.からだの部位を手のひらで見立てた相応療法(こまつ式では『相点療法』と呼称することが多かった』
2.基本である三一体質に応じた統治療法あるいは気脈療法
3.五行鍼を背景とした五治処方
これらの三つの方法論をベースに、八性穴(奇経療法のようなもの)やキネシオロジーテストなどを組み合わせたものと考えていただけると大きなズレはないかなと思います。
こまつ式はここに小松隆央先生の臨床経験からいくつかの独自手法を加えたものとなります。詳細は先方のセミナーで教授いただいてください。
ボリュームもしっかりあり、質疑応答に時間もしっかりととっていただけるし、泰心堂としてもお勧めする勉強会です。
さて、では質問の方へとよりたいと思います。
で、コロナの後遺症ですが、今のところをうちに来院いただいた方の症状と対応とをざっくりとお話しすると
1.頭のすっきりしない状態→頭部九鍼と八性穴※頭部九鍼はこまつ式。
2.嗅覚、味覚鈍麻→鼻、嗅覚野、舌などの相応領域の過敏圧痛を中心に多鍼
3.呼吸器(気管・気管支)・食道あたりの違和感→口~呼吸器の相応領域の過敏圧痛を中心に多鍼
が主な症状と対応。
専門的な処方は個別のケースで判断すべきだと思うので参考にはならないので、基本方針だけ書きますが、
からだの中心軸の症状が多いのでKHTにおける督気脈(督脈)、任気脈(任脈)上の相応領域を中心に過敏圧痛反応やキネシオロジーのテスト(FT)を用いて異常反応をチェックし、そこに多鍼。つまり相応(相点)療法が基本になります。
そこにうちだと同じくFTを用いて五治処方か八性穴処方を加えて15~30分程度お休みいただくを繰り返していくと、まあ、大体良い結果が出ているようですね。
メリット
1.てのひらを用いるので姿勢的負担が極力少ない。また術者も疲れない。
2.相応点を利用することで、本来鍼が差しにくい部位や禁忌部位でも安全に刺激することができる
3.シンプルに反応があれば対応するという形で対応可能(施術がシンプル)
4.なれるとすぱっと専門的処方(五治処方)が決まる。
5.手指は知覚神経の密集地帯なので”認識の書き換え”が起こりやすい。
デメリット
1.専門の道具がないと施術し難い。
2.多鍼することに慣れないと時間がかかる。
3.一般的な鍼灸術に比べて施術方法がかなり特殊なため近くに施術者がいないことがある。
4.通常は知覚鈍麻が多い印象だが、まれに手指に知覚過敏を起こしている方もおり、そういう方は刺鍼の痛みが強く不適当な場合がある。※施灸での対応や回避の判断が必要。
細かく話そうとするとだらだらと長くなりそうなのでこれくらいで。
コロナ対策の鍼灸という質問を立て続けに頂いて、異なる二つの立場から連続して回答させていただきました。
良くある話ではあるのですが、実は立場によってこの見解は大きく割れます。
私自身が合理主義者で論理学、構造主義的な考え方を主とする都合上、
1.仕組み・機能から考えて特定の処方などない
と考える立場と
2.ある術式、術理に則り、具体的な処方を考案する
という立場との両者を同時に持っています。
あとは施術者自身あるいは、施術所としてどの立場に立つかの問題と、どうやって顧客のニーズに応えるかの問題がその場にあるだけですね。
思うに、「どの経穴を使ったらよいですか?」とか「どういう方法論での臨めばよいのでしょうか?」、「○○術はどう?」的な質問を寄せる方の中には、知識としたは知ってはいるが使いこなせていないものがそれなりにあるのではないのでしょうか。
もちろん、現場に経つと即断即決だけで済まない場合も訪れます。迷うことはあるでしょう。大いに悩むべきです。
その時に立ち返るのは、何ですか?どこですか?
私は、原理原則、基礎と呼ばれているものです。
奇をてらった術が必要な場合もないわけではないですが、まずは手持ちのカードでその場をしのぐ、得意な形が現れるまでつなぐ、でいざ訪れた際にはしっかりと決めきる。
これ、どの分野でも同じですね。
では、今回はこの辺で。
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