質問に答えます。その88 局所と全身調整どちらを優先すればよいか?
ども、からだのエンジニア&からだの専門家 鍼灸師&整体師 泰心堂こと藤井崇次です。
本日はなんか連投ですね。※連続投稿。
これも、新人鍼灸師さんかな?メールを多数いただいております。メールくれるよりも予約くれ(爆)と言いたいところですが、まあよいでしょう。
〇局所と全身調整、どちらを優先すればよいか?
・・・・・・これね、昔から争っている人たちいるんですけどね、実にくだらない。
答えは簡単で、どちらが顧客の利益になるかです。
ダメなのは目的が、基準が明確でないことです。
そもそも論としてですね、鍼は刃物、灸は熱源でしかありません。いっぱい刺した方が効果が高いなんてのは妄想ですし、時間をかけてもより疲れるだけのこと。さらに言えば、経絡って概念が便利だったから採用されただけですし、気という言葉で説明すると話が通りやすかったからそういうたとえ話をしてきたに過ぎません。
私たちの体調は、一部の外部処置(ワクチン接種、血清投与、手術など)を除き、内部作用(生理的機能)により調えられます。(維持、修復)
※”教科書”に書いてあるレベルのお話ですね。
※保健体育や理科、生物の教科書レベルが基本中の基本。
なので、極論を書けば、どこに鍼を刺そうが、どこに灸をすえようが、内部作用が機能すればそれでOK。
これをもっとシンプルに表現すると「どこに刺激してもOK」ということになります。
ええ、だって黄帝内経に『異病同治』、『同病異治』とありますが、これA∨Bってことですよね。
とはいえ、それだとお仕事にもならないし、やみくも、あるいは行き当たりばったりになってしまうので、どうしたら効率よく体の内部作用を機能させることができるか?というのを意識的にせよ、無意識的にせよ考え積み上げ、形にしてきたものが術式というものです。
で、その中には、何を先にすべきか?という設計者の思想が反映されているわけで、それと顧客の喫緊の課題が一致していれば、満足度が高くなりやすいし、あるいは顧客の喫緊の課題を解決する異なった手段を提案し合意を得られればそれはそれで満足度は高くなります。
喫緊問題の解決=顧客の利益
これがまず最初ですからね。
で、設計者によっては、局所からアプローチするという考え方があり、全体の調和をとるという考え方がある。
それらを学んだ施術者によって、再現可能性の問題が生じる。
ただ、それだけですね。
できもしないのに、大上段に全身調整を掲げるよりも、限度を決めて局所の処置をした方が再現性があります。
また全身調整こそが本道、局所なんて枝葉の話!と嘲るのも違います。
だって、盆栽とかって枝ぶりを評価するもんでしょう?
神は細部に宿る!という言葉もありますしね。
あとは時間軸の問題かな?
1.体調不良発生や傷病直後~施術迄の期間が短いもの
2.体調不良発生や傷病発生から施術迄の期間が長いもの
1.は、明確な不都合が体の中で発生していることが多く、また環境適応しきれていないことが多いため、恒常性の維持のための内部作用、ここでは治癒反応が起こりやすい。
2.は、期間が長くなったため、ある意味、不都合が日常化し、環境適応してしまうことにより、いつも通りになっているため、治癒反応が起こりにくい。
このように考えておくと楽。もちろん損傷程度により、可逆性/不可逆性という元に戻る/戻らないので慣れる必要ありって問題もあるけど複雑になるのでその辺は今回割愛。
私たちの施術は大きく分けて二つのアプローチがあって
1.どこがおかしいかを明確化するアプローチ
2.どこがおかしいかを知らせる、気づかせるアプローチ
微妙にニュアンスが違うのだけど、前者は、からだはおかしいと思っているんだけどパニック状態でどこがおかしいかがわからないので過剰に反応を起こしている状態であり、後者は、その状態に慣れ切っているためいつも通りと思ってサボり状態にあると考えてもらえばよい。
と、まあ分けてみたけれど、これ結局は、調整的刺激に対して体が変化(反応)するか/変化しないかの問題に集約されます。
専門用語的には、平時の体質があって、病を受けて病的体質に変わり、病的脈状を示す。これを浮中沈あるいは虚実、速遅、拡緊など平時とのギャップを診、調整を以て脈平らかに、平時の体質に沿った脈状を示せば疾なし(平時の脈、平人の脈)と考えるって話になるわけです。
ただし、これね、病的体質においても、いつも通りと感じるてのがあり得るってのが厄介なところ。いつも通りだったら、「わざわざ調整する必要ないじゃん」ってのはごく普通の反応だと思いますしね。
なので、「いつも通りじゃないんですよ」と検査や調整を以てからだと対話していくのが鍼灸施術の本道なわけです。
技じゃなくて、業であり、対話です。
特殊な鍼灸術などはただの道具にすぎません。まあ、いろいろと用意はしてありますが、うち、泰心堂であれば、亭主たる私こそが商品でありサービスなんですよね。
私(施術者)を通じて、ご自身の心身と向き合い、気づくというのが施術の本質ですね。
そう考えると、とっかかりの話題から初めて徐々に核心に迫るのもありですし、いきなり本題を切り出すのも会話術としてはありなのですから、ね?
と、ここまでは概念的なお話で具体的な手段のお話をしておきますが、どちらもできないとお話にならないのでまずは、全身を意識した調整を1つ以上、局所に対する処置を最低限主要関節と肩、腰の個別アプローチ法を各3種類以上ですかね。
そのうえで、まずは基準を作ります。
1.施術自体の基準:いつもの検査、いつも確認する反応。また終了基準。
2.今回のお客様と共有する基準(通常は局所の圧痛や動作痛、自律神経系だと筋反射テストなど)
そして、基準の変化を追います。よほど基準の取り方が下手でなければ、変化が出るはずです。※変化しやすい目安としにくい目安とはある。
そのうえで、自覚的な変化と他覚的な変化とのギャップを埋める。これは質問すると早い。
やみくもに「どうですか?」と聞く行為は頻度によっては不安を助長しますし、「それくらいわかってくれよ」という反応が出る場合があります。
また、聞かないと「本当に変わったの?」という不安感が出る方もいます。
なので、施術者が十分と判断したときに、ズバッと「これ施術前○○でしたけど、(施術後)今、こうなっています。わかりますか?」的な表現で変化したことを意識していただくなどの会話を利用したテクニックも大事ですね。
ちなみにうまくいかなかったとしてもそれはそれで、(今現在、そのアプローチだと)うまくいかないという情報が手に入っただけのことなので、次のアプローチへと移行すればよいだけなので、一々ショックを受けずに次の手続きへと進むことが大事です。
最後に泰心堂式の手順(鍼灸)のお話をしておきますが、今回は局所と全身調整の部分についてだけさらっと触れますが、基本的に体本来の力を以て自ら治るように仕向けるってのがスタンスなので、痛みが強すぎて~という顧客除き次のアプローチ手順です。
0.ヒアリング、検査など事前準備
1.頭蓋調整:ソフトブロックテクニックor頭蓋ドレナージュorクラニアルテクニック
2.再検査
3.全身の調和を意識した調整:鍼灸調整
4.再検査2
5.局所の調整:局所に対する刺鍼、施灸もしくは相応領域に対する刺鍼または施灸
6.頭蓋調整:ソフトブロックテクニックor頭蓋ドレナージュorクラニアルテクニック
クローズですね。
変わっているところは、頭蓋調整を明確に入れていること。これは主としてカイロプラクティックやホメオパシーなどの「頭の状態がよくないとからだの状態を上手に認識できない」のではないかという問いに対する答えとして入れている手続き。泰心堂はめまい、頭痛の顧客が多いこともあり、最初から手続きとして入れています。
もう一つは、局所の調整が必要ない場合も多いので、頻度は高くないのですが相応領域に対する調整が珍しいでしょうかね?これは、瑞金療法協会ー高麗手指鍼術(研究課程修了)、小松式高麗手指鍼術の流れで重宝しているテクニックです。
※小松式については、こまつ鍼灸院 小松隆央先生のところへお問い合わせください。
この小松式高麗手指鍼術については私自身の体調維持管理にも採用しているテクニックの一つです。
最後の頭蓋調整後の検査がないのは、さらっと最終確認するだけなので、明示していないだけですね。
こんなところで参考になったでしょうか?
今回はこの辺で
0コメント