質問に答えます。その38 取れないものを取ろうとしない

 ども、からだのエンジニア&からだの専門家 鍼灸師&整体師 泰心堂こと藤井崇次です。本業は鍼灸院経営で、施術者も兼務しています。習志野市大久保の地で10年以上施術活動を続けておりますが、地元比率は実は低く、電車などを使って遠方よりわざわざ探して訪ねて来るような隠れ家的な治療院を経営しています。


 さて、今回のお話は『取れないものを取ろうとしない』という結論。ええ、いきなり結論がタイトルです。


藤井先生、こんにちは。

神奈川で鍼灸師をしていますFと言います。

(症例相談なので、一部省略してまとめ)

  • 30代女性
  • 事務職
  • 坐骨神経痛を伴う腰痛
  • 何もしなくても痛く、長時間座っているのもきつい状態。
  • SLR、パトリック陽性
  • 腰部刺鍼と坐骨神経走行に従って刺鍼、鍼通電療法を試みること数度、症状の改善が思ったほどではない。
  • 骨盤調整も同時に行っている。
  • 施術時間は1時間
  • そのほかあちこち痛い、きついと言われて、肩こり、頭痛などに対応した処置もしている。

という形で、なかなか思ったような改善につながらないとメールをいただきました。


ええと、鍼灸の施術としては別に間違っていることはないと思います。

十分に”あり”の範囲だと思います。


私こと泰心堂的な視点で考えると気になるのは3点

1.SLR、パトリック、そもそも坐骨神経痛って病名できて、現にそこにしびれを伴う痛みがあるのにわざわざ行う必要あるの!?

2.施術時間に1時間もかけてんの?

3.なんで主訴以上にほかのこまごまとした処置しているの?

以上の3点ですね。


 ええと、術前テストの目的は、術後の変化を確認するためです。変化の出ないテストは場合分けあるいはふるい分け以上の意味はない。今回の話は例えば、坐骨神経痛と言いながらも領域が不明瞭だったり、断続的であり、施術に来た時間帯にしびれなどの症状が出ていない場合、”疼痛誘発動作”として行い領域確認、程度の確認をするのであれば意味があると思いますが、坐骨神経痛と診断名もらって現に症状が現出しているにも関わらず何のためにテストをしたのかが不明瞭です。


 二つ目、この方、座っているだけでも痛い。長時間寝ているのも痛いわけです。ならば施術はできるだけ楽な姿勢で短時間で施術すべき案件ですね。長時間施術を行うと施術自体が多大なストレスになりますから。


 三つ目、主訴の状態の程度が大したことない場合で、患者の体力的な要素に不安がない場合は余計なことをしても基本的に悪化することはありません。が、程度がひどい場合、余力がない場合は主訴に対して、力を集中したいのに対して、分散してしまうというか施術の焦点がぼやけるのであまりお勧めしたくないかなって。

 これはこまごまとした要求は、さらっと流して、一緒に変化して結果良くなるのならOK程度のウェイト(比重)にしてしまうべき案件です。


「こんだけひどいとね、あちこち症状出るよね。まずこっちが良くなってくると、そちらもね、自然と良くなっていくと思いますよ」

と言っておけば良い。


 うち、泰心堂はりきゅう院ではさらっと流します。さらっと流すので、結果、それらの症状は劇的に改善してしまったりすることが多々。

 いや、だってそれは”体が要らない”と判断したら肩こりも作る必要がないし、頭痛起こす必要もないでしょう?

 当たり前のことなんですよ。

 患者さんのいうことは基本的には正しいと受け止めるべきではあるのだけれど、患者さんの言いなりになるのは違います

 それが考慮すべき事情なのか、優先順位が高いのか低いのか、処置すべき/放置すべきを判断するのは施術者の仕事なので、今回のように腰痛ー坐骨神経痛が甚だしく程度が悪く、優先順位が飛び抜けて高いのであれば、その他の症状は無視すべき。


具体的な施術でお話しすると

〇一回の施術の目標は痛み・辛さの2~3割の低減を目指す。

→無理に10割取る必要はない。取れてしまうことはある。

〇施術時間は30分を超えない。

→泰心堂の場合は15分未満で処置するケース。

〇体位変換は1~2回、最小限にする。

〇効果が出るテストだけを行う。
→前後の結果が出るテストは自信と期待に、出ないものは不安と諦観につながるから

〇痛みの抑制のための直接的刺激は最後に。


泰心堂の場合は手段が数多くあるので正直まったく困らないケースなのですが、どうお話ししましょう。鍼灸は流儀流派の都合もあるので鍼灸以外でお話しすると。


例えば操体法を臨床で使う場合。

こういうケースで私、藤井がよく使うのがIポジションと踵押し下げの操法。

手順

1.腰、脚の屈曲、伸展、捻転を確認

2.Iポジションもしくは足の操法を行う。

3.再度、屈曲/伸展/捻転をチェックして、可動域の拡大/縮小あるいは同可動域における痛みの減少などが確認出来たら終了。

あとは体にお任せ。程度によっては3~4日に一回程度の施術を継続すれば十分に改善すると思われます。

もっとも泰心堂の場合は鍼灸も行いますので単独で使うケースは殆どありませんけど。


例えばDRTを行う場合

ダブルハンドリコイルテクニック:創始者 上原宏(お茶の水カイロプラクティック)。両手による背部揺動刺激を用いた上部頸椎調整および神経伝達系の回復促進を図るカイロプラクティックの技術。詳細は日本DRT協会へ。※泰心堂こと藤井も会員です。

手順

1.腰、脚の屈曲/伸展/捻転の確認

2.三大徴候の確認

3.DRT

4.三大徴候の確認

5.腰、脚の屈曲/伸展/捻転の確認

 施術の収量は三大徴候の解消の程度を目安にする。施術感覚はやはり3~4日1回から週一回程度。改善が鈍いようであれば頻度を上げる。


 うん、どうちらも10分かからないかな?

 取り切れなかった症状は、取らないのがコツ。

 それは現在の体の状態として、症状として出しておく必要があるものだから。一回の施術において消失する反応は、あくまで調整の結果、反応を出さなくても良くなったもののみ。なので、残った反応は、根本療法とか体の治癒力を十全に利用した調整法を標榜するのならば、一定のルール、手順を加えるのは構わないが、それでも残るものはその回で、無理に取ろうとしないことが大事。


 何が何でも……、とやるのはむしろ体力を削り、治癒から遠ざかる行為になるのでそこはズバッと割り切ってしまったほうが結果、患者さんのためになります。


とりあえずこんな感じで回答しておきました。

習志野市大久保の鍼灸&整体 泰心堂はりきゅう院

臨床経験10年以上、総施術回数は7万回以上。 頭痛、めまい、疲労感を伴う体調不良などの取り扱いが多い各種特殊鍼灸術を用いる鍼灸院 こまつ式高麗手指鍼術、DRTなど認定院 【ご予約はメールまたはWEB予約から】 taishindo@outlook.jp 047-404-5225

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