あるアトピー患者の苦悩と解放 その2

前回の記事の続きです。

 ええと概要のお話は前回終えましたのでそちらをご覧いただくとして、東洋医学的なお話をしたいと思います。

 改めまして、からだのエンジニア 泰心堂 藤井崇次です。Owndでは個人としてのお話がメインとなりますのでご了承ください。

 では、はじめましょう。


 とはいえ、です。『東洋医学』と言い切るとですね、なんというか私、偉そうじゃないですか!? なので泰心堂では、と変更して考えてくださいね。

 泰心堂の考えたとして、アトピー性皮膚炎は、熱証です、実証です。遊走性疾患です。

 だからどの経絡から虚証が波及しているのかを診ることが大事です。


 なぜ、こういう考え方になったかと言うと、恩師である小林詔司西岡敏子らの影響です。はい、なぜ、今日アトピーの話になったかと言うと恩師の一人西岡敏子先生を思い出したからですね。

 ある鍼灸の技術において、「鍼灸治療はすべて補う方法なんだ」、「実に見えてもそれは見かけ上で、虚が強すぎるから実に見えるだけ」、だから「細かな技術として補だの寫だのがあっても、大本の体にとってはすべて補方になります」いうのが学生時代にいただいた言葉です。

 実際、現場で施術に携わっていても、実証に対する施術のみをすると短期的な痛みは抑えやすいが、慢性的な、身体が疲れているなと感じるときは利きが悪かったりします。そういう時は施術における比重を変え増す。初期が実:虚が9:1だとしたらある程度痛みを取り去ったあと実:虚が1:9もしくは0:10のように体の底上げをするように虚証に対して施術をすると効果が上がる様になるのです。

 なのでアトピーだから熱証、実証と単に飛びつかず、表に出ているもの、裏側にあるものとしっかりと診たうえで施術方針を立てることが大事に思います。

 私が忘れずにチェックするポイントは手の太陽小腸経。三焦経の左陽池を上げる人が聞いた中では多かったですが、私はわりと小腸経を調べます。あと後述する体表観察では、〇〇経というよりも陽明面とか面でまず考える様にしています。

 例:陽明面に炎症が酷い→は体の前側に炎症が集中している。


 あとは痛み方を必ずチェックします。朝、昼、晩で痛む場所が変わるか、先週と痛み方、場所は変わっているかなどなど、日時やイベント、モーション、エモーションなどで痛み方が変わるかなどを聞いて置きます。私が担当したお客様は「前回はこことここで、今回はそこではなくて~」と話す方が多かったので、経絡としては足の厥陰肝経、足の少陽胆経を必ずチェックしていました。


 さて、実際の手順のお話をしましょう。

0.対象はだれか?

 言うまでもないとか言われそうですが、泰心堂で扱ったのは、乳幼児小学生高校生、中年と年代が異なるお客様です。当然ですが、処置が変わります。泰心堂では次のように施術自体を分けます。

〇乳幼児、小学生(3年生あたりが境):大師流の谷岡先生に手ほどきを受けた小児鍼

〇小学生~高校生:基本施術、高麗手指鍼術、極稀に刺絡

〇高校生~:高麗手指鍼術、基本施術、刺絡、極稀にに長鍼

1.体表観察~どこに炎症が起きているのか~

 この時見るのはアトピー性皮膚炎の性質です。湿潤型なのか乾燥型なのかは要チェックです。私が見たケースは全身型の方が多かったので何ともですが、酷いのは股上、太ももの内側ですね。見えるとこでひどいのはどうしても書いてしまう関係で肩から腕とくに前腕。ひどい方になると裂傷ですか? と思うほどに掻きむしった後のある方もいます。

 ”経皮”という考え方があるのですが、経絡と関係する皮部という意味です。どの皮部にどのような分布をしているのかを診ることで異常を起こしている経絡の類推に役立ちます。

2.問診と体表観察を合わせて、時機を診る。

 ひどい時期なのか、それともある程度の範囲で収まっている時期なのか? 体力がありそうなのか、寝込んでしまうほど体力がないのあ? 気力が充実しているのか、気力がなえているのか? 目標があるか、目標を見失ったのか、……

 施術者と患者(未成年はお客様=クライアントが親であることが多い。)の温度差って大事ですよね。

3.方針の決定~どの経絡に実、熱が生じているのか、〇積はどうか~

 鍼灸の施術方針の決定は、脈で行う人、脈+αで行う人、論理式で行う人など様々あります。論理式は系統で言うと中医学? の人ですね。

 泰心堂の場合は、脈、腹、設定した判断基準などで確率が高いものを採用しています。

4.道具の選定、刺激量に対する配慮

 総合力が試されるステージです。だって、一方式一加減しかなければ調整も何もあったものじゃないですからね。

 泰心堂の場合は、刺激量はリアルタイムの観察によって決めます。施術の際に腹スの判断基準を取るのですが、そのうちの本日の代表点(複数)を決め、それらの変化がどれくらい起こって、どこの位で止まるのかを観察しています。

5.クローズ~施術後の注意と生活指導~

 施術において大事なのはクローズと次回の予約です。体質改善系は非常に時間も施術回数もかかります。なのでモチベーションを途切れさせないというのがとても大事です。私は次回予約を取らないこと=見捨てることだと思います。なので押し付けにならない程度に予約を取るというのは手順として入れておくべきですね。

 施術後の注意については、どのような施術をしたかによって大きく影響のある所なので、休んでほしいのか、気にしないでいいのかなど指示をしておいたほうが良いです。生活指導も適宜チェックしておかないと、「たまたま爪切るの忘れた」とか、暴飲暴食+睡眠不足というコンボを自分で決めておいて「上手くいかない」という人が出てきますので注意が必要です。チェックリストとか作ったほうが良いですよね。


 さて、いよいよ次回は、モデルケースのお話ですね。それではまた。

習志野市大久保の鍼灸&整体 泰心堂はりきゅう院

臨床経験10年以上、総施術回数は7万回以上。 頭痛、めまい、疲労感を伴う体調不良などの取り扱いが多い各種特殊鍼灸術を用いる鍼灸院 こまつ式高麗手指鍼術、DRTなど認定院 【ご予約はメールまたはWEB予約から】 taishindo@outlook.jp 047-404-5225

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