不妊対策鍼灸~泰心堂式のコツ~ その2

どうも、からだのエンジニア 鍼灸師 藤井崇次です。9月―10月は不妊関係に力を入れますので、お悩みを抱えている方はお早めに予約ください。泰心堂はりきゅう院は、習志野市大久保の隠れ家的治療院、一人治療院で専門はめまい、自律神経系が第一。そのほかにも美容ニーズ、一般疾病にも対応していますので、不妊専門の枠は少なく、先着順で受けますのでお早めにどうぞ。



 さて、本日のお話は不妊対策鍼灸~泰心堂式のコツ~ その2と題してお送りいたします。

 ええと不妊対策鍼灸のコツは

1.蓄積疲労対策

2.先天体質と病的体質のギャップの分析

3.生理周期に合わせた偏りづくり

 まず、大事なのが蓄積疲労対策です。一言で蓄積疲労と言っても、精神的な疲労、体力的な疲労、環境対応に対する疲労などいくつかの疲労が混在しています。東洋医学的には内因(内心、精神的な疲労から生じる病因)、外因(風熱湿燥寒などの外気、天候に対応できないことで生じる病因)、不内外因(内因でも外因でもない、主として飲食、睡眠、ケガなどによる体力低下を起因とする病因)の三つの病因の分析をしたりします。

 CSFプラクティスでは、頭部拡大の兆候がないか、力はしっかり入るのか、関節は十分に動くのか、関節可動域は保たれているか、皮膚の弾力は適当かなどの指標から疲労の程度を推察します。

 クラニアルテクニックでは、本人の自覚症状や、いくつかの指標、あとは頭蓋骨にコンタクトし一次呼吸の律動からそのギャップを観察することで疲労の程度を斟酌します。

 鍼灸では、脈、腹などの目印から、肌の状態、皮膚や筋、ツボを押した時の反応、顔色、声、動作なども目印に追加して、体の状態がどの程度本来の状態からずれているのかを考えます。脈では胃之気の脈を診るのがわかりやすいのですが、人迎ー気口脈診(泰心堂は瑞金療法協会式、『高麗手指鍼術講座』たにぐち書店参照)なども実証、虚証を分類するには便利ですね。三部九候脈診は研究していませんので行っていません。

 なお、泰心堂式では、気血津液病証を採用していませんので”お血”云々の話はしません。ただの宛陳=滞り=気血の動きが鈍いとして処理します。あくまでもどの経絡がずれているのかに集約して考えています。

 蓄積疲労の回復促進の基本的な考え方は、”動き”を作ることです。動かなくなって、動けなくなって吐き出せなくなって、疲労のスパイラルに陥っているので”動かす!”ということが大事。

 CSFプラクティスでは、CSF(脳脊髄液)の流れに注目して、動かし

 Zero-Resetでは、経絡のズレに注目して、最も経絡の動きが良いZero-Positonへと体の状態を整えていきます。

 当然、滞っている血の巡りも良いほうが良いので、血流改善、体熱の不均衡を整えて、冷えた部分は暖かく、逆上せたり、火照った部分は熱を散らしてあげる。

 そういう方針で施術をしていきます。

 先天体質と病的体質のギャップは実際に施術に入る前に考えておくべき問題です。そもそも元気のない人に「元気になりましょう!」と言ってもこれはおかしい。一人として同じ人間がいないように、すべての人に当てはまる健康法などありません。傍から見れば「それ、体に悪いよ」って思うものでもそれが精神的な疲労を緩和して結果として健康維持に役立ったりするものもあります。

 なのですべてにおいてではなく、タイプに応じた対応を考えておく必要があります。

 不妊鍼灸というと、すぐに腎之気を補ってという対応も時には正解ですが、そもそも腎虚タイプの人は腎虚がデフォルトなので、不妊状態の東洋医学的な原因は、腎虚ではない可能性があるとして施術を組み立てる必要があります。泰心堂式は基本的には五行体質論で”○旺体”というタイプ分けをします。例外としてはほかの鍼灸院で長く不妊鍼灸を続けていた方、流産癖のある方、原因不明の赴任状態を長く続けている方などは運気体質論(瑞金療法協会式)を参考に先天体質と後天体質の分析から処方を組み立てることがあります。

 施術方針にかかわるウェイトとしては、蓄積疲労からの回復が優先で、こちらは参考にしておく形ですね。ただ、施術に悩むときは病的体質 → 先天体質へと近づけて、そこから再度分析しなおすなどというパターンが効果的なケースがあります。

 最後に生理周期に合わせた偏りを作るというお話です。

 ざっくりと分けると、低温期、高温期と二段階に分かれますが、不妊対策プログラムでは、月経期(生理期、子宮内膜滑落)、卵胞期(子宮内膜肥厚化、エストロゲンの影響)、黄体前期(排卵期※厳密には排卵後数日、黄体ホルモンの影響で体温が上昇)、黄体後期(着床期、着床していない場合次の月経を迎える)として考えます。卵胞期~排卵~黄体期(分泌期)の境ははっきりとはしていない。ただ、排卵日は体温が下がる傾向があり、その後、卵胞が黄体へと変化し黄体ホルモンを分泌し体温が上昇するので基礎体温を測っている場合は体温が高い時期が続くのでわかりやすい。逆にこの低温と高温の差がはっきりしていない人は、あまり妊娠に適していないと病院、鍼灸院などで言われます。

 ただし、重度の冷え性でも妊娠する人は妊娠するので、この低温、高温は実はただの目安に過ぎない。

 不妊対策プログラムでは、月経の開始から1週間を月経期、次の1週間を卵胞期、次の1週間を黄体期前期、次の1週間を黄体期後期として考えそれぞれに合わせた偏りを作ります。

 月経期 - 腎または脾 主穴 太谿(下復溜)、三陰交(血海)、腎兪、脾兪、胃兪

 卵胞期 - 腎または肝 主穴 太谿(下復溜)or 陰谷、曲泉、腎兪、肝兪

 黄体前期 - 腎 主穴 太谿(下復溜)or 照海、陰補宮、中封、命門、腎兪、痞根

 黄体後期 - 腎もしくは肺 主穴 太谿(下復溜)or照海、太淵、大杼(定喘)、肺兪、腎兪(志室)、上仙(腰宜)、痞根


 基本的な考え方は、腎=精気(先天の精)、脾=統血、肝=主筋のイメージ。

 東洋哲学では両親の先天の精気が混じり生命が発すと考えるので、腎を整えるのは基本。月経期は子宮内膜が剥がれ下り物=下血として排出されるので血不足になるので統血作用を持つ脾を強める。子宮内膜は筋の一部として考えるので筋を主る肝を強めるという考え方をします。


 なお、卵胞期から排卵はとくにズレやすいのでこの時機は基本的には脈と経穴反応と臨床上の勘を頼りに調整することになります。

 体外受精、人工授精の場合もこの周期自体は同様に考えますので、これらを考えている方が当院で不妊対策プログラムを併用する場合は、月経期から勝負。約2週間前から整えて、体外受精、黄体期の調整という感じで利用される形か、その前の周期から整えて臨むという形をお勧めしています。


 なお、男性不妊の場合は、原因不明か、精巣、精子の数、質の問題になります。この場合は、身体に打つ鍼だと精巣などへの反射が、手のひらの反応領域に鍼を打つ場合に比べて起こりにくいので、手のひらの反応領域への多鍼+肝腎の偏りを作る処方を週1~2回ほど加えていきます。


 泰心堂式の不妊対策プログラムは以上のように、蓄積疲労からの回復促進、体質に合わせた方針、時機や様態に合わせた施術によって組み立てられています。


習志野市大久保の鍼灸&整体 泰心堂はりきゅう院

臨床経験10年以上、総施術回数は7万回以上。 頭痛、めまい、疲労感を伴う体調不良などの取り扱いが多い各種特殊鍼灸術を用いる鍼灸院 こまつ式高麗手指鍼術、DRTなど認定院 【ご予約はメールまたはWEB予約から】 taishindo@outlook.jp 047-404-5225

0コメント

  • 1000 / 1000