またまた徒手調整術研究部の症例
もう一つ膝の症例
おはようございます。
からだのエンジニア&からだの専門家 鍼灸師&整体師 藤井崇次です。
熱いのか寒いのか、まあ、寒いんでしょうね。変な天気が続きます。皆様いかがお過ごしでしょうか?
本日の一本目のお話は、実はしばらくぶりにメールをいただいた方の症例なんです。
3年ぶりに連絡をいただいた方の実に4年前の案件ですね。
随分、昔の話になります。
当時にオーダー、つまりご要望は、「突然来る膝の痛みを何とかしてほしい」というもの。過去に膝の怪我をしたことがあり、手術も経験済み。なので、痛みが出ること自体は仕方がないとは思っているけど、時折激痛で立っているのもつらくなることがあるので、何とかしてほしいというお話でした。
この話で一番苦労したのは実は、”再現”でした。
なんといか現場検証!?
どういうときに、どういう姿勢で、どういう動作で、どの角度で、どこに、……といろいろ調べる必要があるわけです。
ええ、キネシオロジー学んでおいてよかったとこの時ほど思ったことはありません。
まずは痛みが出るのは左膝。でも捻じれが強いのは右の大腿部。下腿はむしろ左側が捻じれている感じ。股関節屈曲はどちらも正常範囲。仙腸関節の動きはL>Rで不良。
AR3、SR2、C2RとDRTの三大徴候は典型的パターンで右から調整のパターン。
経絡的には左のN5で反応、国際基準だとLRですかね。私はどちらかというと高麗手指鍼術基準ですので、肝経はNで表記することが多いですね。
でもキネシオロジーのテストでTherapy Localizationをしていくと、集約ポイントが右仙腸関節→右後頭骨調整点になるというややこしい状態でした。
問題は痛みが出た時にどうするかって話なので、今現在のからだを整えても良いんですけど、どちらかというとそれが起こった時の対処が大事だったわけです。
なので、屈伸や捻りあるいは等尺性収縮(アイソメトリック コントラクション)などによる持続負荷などを掛けつつ痛みが出る姿勢、動作を探り、痛みがでたところで、N5周辺に対する刺激で痛みが軽減するかをひたすらチェックすること30分。
予想通りにN5に過敏圧痛点が無事(?)に出現したので、そちらを刺激してその動きが可能かどうかを一つひとつ確認していきました。
ええ、正直めんどい。
なんで、こんなことをしたかというと、この方の膝痛はいわゆる慢性痛の症状で検査しても異常なしと出てしまう類なんです。
この場合、患部に微細な断裂などの具体的な問題が生じているケース(この場合はどちらかというと急性痛になります。)か、頭の方で長いことそういう状態だったのでリミッターを掛けているケースのいずれかが多い。
前者の場合はしっかりと養生すれば治ります。後者の場合は、痛みの記憶(そういう状態を長期にわたり反復継続したことにより生じた認識)を書き換える必要があります。
つまり、”この方向に動かすと痛いかもしれない→痛みを出しておけ”という認識を、動かしても痛みが出ない、問題がないという認識に書き換えるわけですね。
なので、再現動作→刺激→再現動作→再認識という手順を踏んでいるわけです。
ちなみにこれ、痛みの局所に対して行っているわけではないので、前者のいわゆる微細な怪我が原因の場合は、痛みは取れません。だって、怪我を治すために筋性防御を起こして動かせない状態にして、さらに痛みを出すことで無理に動かすなと体に信号を送る。そういう自然な働きが起こっているだけだからです。これ、無理に取るとろくなことにはなりません。
高麗手指鍼術(KHT)は基本的に手のひらに刺激を送ることで、自律神経系の機能による痛みの抑制などを促すものであり、直接的な患部への鎮痛効果はあまりないのが一つの特徴で、自律神経調整には非常に優れているが、一方で怪我に対する調整としては自律神経機能調整など補助的な役割に留まるという傾向を持っています。
ま、ぶっちゃけ話、日本でKHTが流行らなかった理由のひとつです。※当時に流行が痛みや筋肉の緊張を無理やりほぐす、抵抗できない状態まで揉みこみ感じることすらできなくするというやり方が主流だったので、筋肉に対する効果を重視していないKHTはあっていなかったと言えるでしょうね。
話を戻しましょう。
痛みがでたときの対処法をお伝えして、実際にやってみてもらって、そのうえで調整です。
当時の処方は、DRT→クラニアルテクニック(後頭骨調整点からの調整)→N5への処方。基本がこれで、あとはその日の状態に応じて多少の変化ってところですね。合計5回で痛みの再発が2週間ほどないことを確認して終了。
※1:2週間痛みがないのは数年ぶりで、満足していただけたようですね。
※2:KHTは鍼灸術ではありますが、今回はセルフケア兼なので、鍼術ではなく、家庭でのお灸の仕方と押圧刺激の方法をお教えしましたので一応、現場での施術は徒手調整術の範囲ですね。
いただいたメールによるとその後も調子が良かったそうです。
現在は、オーストラリアに移住されていて、「頭痛が酷いんだけどなんか対処法ない?」というオーダーでしたので、スカイプ繋いで画面越しですが久しぶりの再会をしていました。
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