頚椎症に対する施術
ども、からだのエンジニア&からだの専門家 鍼灸師&整体師 藤井崇次(泰心堂)です。
今回は、頚椎症、いわゆる首痛のお話。
一口に頚椎症といっても実はいろいろタイプがあるので割と厄介な症状だったりします。
施術者側の心得としては、「治そうとして焦らない」、これにつきます。
藤牧先生がARM療法という整体手技を発表されていましたが、発想が素晴らしいと思います。ええ、Auto Return Methodですからね。「戻そうとするのではなく、自動的に戻るのを待っているだけ」で良いというのは至言ですね。
顧客側の気持ちは、「一日でも、一時間でも、一秒でも早く痛みがなくなってほしい」というものでしょう。
しかし、これ、”痛み”に焦点を当ててしまうと、なかなか治りません。
大事なことは、なんでそういう状態に陥ったかです。
多くの治療家が指摘している通りに、ひとのからだは、からだの状態を良好な状態に保とうという機能を本来備えています。生命力(イネイト)、蔵府、経絡、気血水、自然治癒力、自然良能など様々な呼び方があります。現代医学的に考えるのならば、自律神経系の作用(位置関係の把握、状態の把握、ホルモンや血流の制御、免疫機能など)です。
そういう機能があって十分に機能しているのであれば、そもそも今回の頚椎症など引き起こされないはずです。
はい、機能していないからそうなるわけです。
じゃ、どうなっているのか?
簡単に言うと、疲労して正しい姿勢を維持できなくなっているのです。
特に頸椎回りだと、頚部の筋肉、肩の筋肉、首から腰、胸部から腰につく筋肉群に緊張があり、見かけ上の歪みが生じているケースがほとんどです。
ここでいう”見かけ上の歪み”は骨自体が変形しているわけではなく、体表(表面、背中)から観察してみると背骨(主として棘突起)が上から下まで直線状ではなく右に左に歪んでいるように見えるということです。
じゃ、歪みを直せばとなるのは短絡的です。そもそも歪みができるのは、からだがそうやってやり過ごそうとしているからです。
ということで頚椎症の施術のポイントは普段の姿勢を見つめなおすということになります。
〇手元のスマホをずっとのぞき込んでいる
→肩は内側に入り巻き肩状態
→主として僧帽筋など肩回り後ろの筋肉が引っ張られて頭が前へ向かいやすくなる。
→さらに頭部の重み(スイカより重い)で頚部起立筋群が持続的な過負荷状態で筋疲労状態となり固まる。
→本来、後弯(後ろにカーブするように反る)状態にある頸椎が前方へと負荷を受けることでストレートまたは前弯状態に。
→頚椎の間を圧迫し、内頚動脈、頚部リンパなどにも持続的圧迫が生じる。→脳血流停滞
→おまけに胸部の大胸筋などが緊張状態にあるので肋間の運動性が落ち、息が浅くなる。
→胸郭も広げられなくなるので肺機能も低下状態に。
→下半身に対して、上半身が前方に丸まりながら傾くので背部の筋肉が伸ばされ持続的緊張状態から持続的疲労状態に
さらっと、これくらい。
良いことありますか?
この日常的な負担を減らすための姿勢指導をしつつ、そう言った楽な状態を自然ととれるように要らない歪みをぱぱっととって、体軸が安定し、左右対称に機能することができる状態をつくり、神経伝達が滞らない状態、脳脊髄液や血液、リンパ液といった体液準循環がしっかりと確保できる状態に合わせていくことが大切です。
そのうえで、
1.頭蓋内環境:一次呼吸と脳脊髄液循環→からだの状態の認識、自律神経系の機能低下などにわる。
2.上部頸椎:カイロプラクティックの調整点のひとつ。神経伝達機能とかかわる。
3.関節のアライメント:筋骨格系において骨の位置関係が適当であると、筋緊張もまた適正になると考えられている。
4.体液循環:頭蓋内環境(頭部拡大)のほか、末端でのむくみ皮膚、肌、筋の弾力低下など
5.関節の動きの滑らかさ:関節自体のアライメントのほか、筋の弱化、左右差などの是正
6.気血水あるいは経絡の状態:筋骨格系、神経系とは違い、からだの動作的つながり、意識的つながりなどで動きや働きに滞りがないかどうか。
こういった視点で、過不足なく調整し、自律神経系の働きが十全に行える状態へと整えていくことで、自ずと治っていく、そういうからだに仕上げていくのが私たちの施術です。
特に頸椎は頭と体とを繋ぐ人体の急所のひとつなので、調整してやろうではなく、自然と納まりの良い位置へと自ら納まるのを待つ。そうすることで安全に首肩回りの悩みが解決方向へと向かいます。
泰心堂には、病院で手術を勧められたが手術をしたくないというレベル、数年~十数年、あるいは数十年手が痺れています。などというレベルの方きます。
こういう方は特に初期のころ週2回程度の施術をし、できるだけ良好な姿勢を維持できる条件を整え、からだが回復していく余力を損なわないように仕向けていくのが大事です。
施術をした→すぐ動ける! ではなく、施術をした→これから治癒が促進されるから、おとなしくしていうようが正解。
頚椎症は期間についてもまちまちで3回程度で終わる方もいれば、50回を超える調整が必要な場合もあります。
いずれにせよ、蓄積疲労状態との兼ね合いもありますので、早く良くなりたいのであれば、ある程度は施術間隔を詰める必要はありますね。
ここ数年の顧客の状態を振り返ってみると、だいたい12~15回(3か月)程度の施術で卒業まで言っている人が多いかなという印象ですね。
どこへ行っても良くならないという頚の状態でお悩みの方は是非お声がけください。
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