質問に答えます。その55 鍼ってどれくらいの深さに打てば良いのでしょうか?
おはようございます。
からだのエンジニア&からだの専門家 鍼灸師&整体師 泰心堂 藤井崇次です。
土曜日です。皆さまちゃんと起きられましたか? 昨日というか今晩? ウィンブルトンで熱い戦いが繰り広げられていましたね。
一進一退の攻防、一つのミスが明暗を分けたかと思うと、最後は力尽くでなんとかする試合ありで観戦していて大変面白いと思います。
そして、ワールドカップの決勝戦も控えていて、まあ、なんというか熱帯夜+睡眠不足+日中の暑さで疲労困憊なんて人もちらほら。
私自身も水分補給に適度な塩分、ミネラルの補給をしないとバテそうだと早速塩飴を買い込みました
また、朝起きて、頭の大きさチェックして、脈診て、動作チェックをして、泰心堂式貼るだけ瞬間調整術orソフトブロックを使ったCSFプラクティスでセルフケア。
はい、残念ながらDRTは一人じゃできないので。一応、泰心堂は日本DRT協会会員で認定治療院なんですけどね。セルフケアはべつのものつかっています。
さて、本題に入りましょう。
質問に答えます。その55 鍼ってどの深さに打てば良いでしょうか?
はい、今回ピックアップしたのはこの質問。メールを紹介しようかと思いましたが、この案件は多数いただいておりますので、正直どれを紹介しようか迷いましたので、大胆にカットしてしまいたいと思います。
この問題はいくつかのレベルというか段階とかに分けられます。
一つは立場=体の見方の問題。
一つは対象の問題。
一つは感度の問題。
大きく分けると三つかな?
例えば深く刺さなければ効き目がないという立場であるのならば、そもそも浅く刺すのは×。
李世珍、李伝岐、両先生らの李家の鍼灸術においては刺鍼後の操作がキモなのである程度の深さに刺入しないとそもそも操作しにくいし、操作時に不快感が発生しやすい
また、首藤傳明先生の超旋刺ならば、そもそも深く刺すことに意味がない。
恩師の小林詔司の積聚治療では、そもそも鍼は刺す道具ではなく、気を動かす媒体(※ファンタジーRPGなどの〇属性の杖的な補助具扱い)でしかないので深さは鍼任せ、からだ任せ、危なくなければそれで良しですしね。
なので施術者がどの立場を選んだかによってまず基本となる深度が変わります。
そして今度は対象です。これは人だったり、性別、年齢、症状などだったりもしますが、施術の狙いなども関係します。人によるやり方は説明し難いので施術の狙い=施術対象という話にすると五行色体表における皮毛、肌肉、血脈、筋、骨というのがそれです。これ実は体表から中心までの深度とも対応していて、どのレベル、あるいはどの層で判断するか、効果を求めるかという話につなげている方もいらっしゃいます。私もその口。
筋のレベルで施術をしている人は、筋の状態が変化するように施術をするべきであり、その深さまで刺入すべきという話になります。
ただ、私自身は顧客の状態に合わせてどのレベルの調整をするかは変えるべきだと考えているので、皮毛レベルの調整で良い人に筋レベルの調整は行いませんし。皮毛レベルをまず基準にしているからといって、骨レベルの問題を最初から無視する気はありません。
この辺は考え方と施術者の技術、術式、技量レベルの話になりますね。
三つ目は、顧客の感度、施術者の感度の問題。顧客感度の問題は必要以上に不快感や痛みを与えないように心がけましょうという話なので、反応を見ながら調整するだけのことです。もちろんNLPにおけるモデリングなどを利用して、患者タイプをそもそも分けてパターン型の調整をするという考え方でもOK。初期の頃あいはこの方がわかりやすい。
例えば先日ちらっと紹介した、長野仁先生考案の六王鍼(鴻仁式十二鍼穴方 泰心堂は直伝講習にて長野仁先生より直伝を受けました)とかをベースにAパターン、Bパターンとかあらかじめある程度のパターンを決めておくなどしておくと便利です。
ただ、最終的な振り分けのトリガーは施術者の感覚になりますので、施術者自身の感度、感覚レベル、意識レベル、何を反応として採用しているのかによって見た目同じように見えても全然違う施術になってくるといういのがかなり厄介な問題として横たわっています。
さてでは私の場合はというと、私 藤井の鍼灸施術者としての原点は積聚治療にあります。なので論理構造をベースとした感覚派としてスタートしています。たまに積聚治療を感覚的鍼灸治療法と勘違いしている人がいますが、それ誤解です。積聚治療は、現代医学の前提となる知識、基礎理論と東洋哲学
東洋医学を前提としたうえで、何を病気として捉えるのかを再定義して、同時に判断基準の最適化、技法の目的、順番、確認手段などは論理式として構築されていて、反応を追う部分の境界域を感覚として定義、検討しているわけで論理構造ありきの施術法なのです。だからそもそも中医学的な格流派とも病因論から異なるし、経絡治療から派生していますが、(八卦)経絡(図)レベルの施術をそもそもしていないのです。あくまでも陰陽二元論的な調整法なんですよね、あれ。だから治療は全て精気の虚を補う補法となるわけですね。
ああ、ややこしいとなるわけです。
泰心堂ではそこから現場での対応の必要性から手続きとしては積聚治療から離れてしまいましたが、考え方の根底には精気の虚の状態とはどういう状態であるか? というスタート地点があります。
Q.精気の虚=体の機能低下状態→最高位中枢は?
A.脳神経系(脳幹ー脳神経ー脊髄神経ー末梢神経という経路、免疫系を含む自律神経系の身体修復調整システム)
であれば、施術の目的は脳の調整であるべきですし、脳神経系の機能低下が解除されれば、あとは体が勝手に回復できる分を回復していく(自然治癒力)わけです。
故に、鍼の深度は体が反応する深さであれば深浅を問わないというのが私の回答。
自分のサロンでの施術では、基本的鍼が入るに任せる形であり、その結果、触れるだけの接触鍼、散鍼といった高等技術になったり、体が受けいれているから自然と鍼が沈んだりして、結果的に刺入されていたりします。
ただ、感覚的な話をするのならば鍼を止める直前には抵抗感のような感じがあります。
とまあ、私自身があまり鍼の深さに対してこだわっていなくて、施術結果を出すことにしか興味がないのでいささか玉虫色の回答になってしまった気がしますが、こんなところでいかがでしょうか?
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