質問に答えます。その53 手の鍼で不妊状態が解消されたって本当?
こんばんは、ただ今、W杯フランスvsウルグアイ戦の観戦直後のからだのエンジニア&からだの専門家 藤井崇次(泰心堂)です。
iPadから実験的に投稿してみているのですが、いろいろと勝手が違いますね。
さて、今回のお話は『手の鍼で不妊状態が解消したって本当ですか?』という質問をいただいので、手の鍼=高麗手指鍼術(瑞金療法協会)の話と泰心堂でのお話(こまつ式高麗手指鍼術)をしようかなと思います。
まず、高麗手指鍼術とはなんぞや? という質問に対して答えましょう
1970年代(1976年)に柳泰佑により発表された手のひらを全身に見立てて鍼灸施術を施す反射療法の一つ。
特に相性が良いのは、自律神経系の不調から生じる機能低下状態を起因とする諸症状。神経異常興奮、過敏や神経鈍麻、体液循環不良(むくみ)、筋・関節機能低下(可動域制限や筋反射低下)→運動機能低下、内臓機能低下など。
外傷やウィルス、細菌そのものを原因とするものを除いたものが対象。※自律神経系の機能正常化に伴う修復機能や免疫機能の正常化により間接的に治癒に至ることは多々ある。
非常に対応幅の広い体を根本的なところから立て直していく東洋医学の技術。
詳細は日本語版であればたにぐち書店から発行されている『高麗手指鍼術講座』やAmazonなどで“高麗手指鍼術”と検索して出てくる書籍などを参考にしていただきたい。
さて、では不妊状態の話に戻りたいと思います。
細かな弁証という施術と説明のための論理的な条件判定式についてはまた別の機会にお話ししたいと思いますが、当然、不妊の悩みは特に先進国では共通した悩みであり、瑞金療法協会においても研究されてきた問題の一つ。
ちなみにだが、先に挙げた『高麗手指鍼術講座』においては婦人科疾患の項目において、数種の処方が掲載されているくらい高い関心が寄せられているし、協会の方では多数の臨床報告や会員の報告が寄せられている。
泰心堂においても、現在は不妊関係は数が少ないので手指鍼術のオーダーを受けているものはいないが、過去に数名、わざわざ“手指鍼術”で探して来院された方もいらっしゃいます。
幸いなことに身内も含めていずれも成功例となっており、今では他の治療院でダメだったとか、病院で専門的な処置を受けていた場合などはわりと高麗手指鍼術の案件として受けるようにしている。
中でも印象深かった例は
◯男性:無精子症が疑われたケース×1
◯女性:不妊治療(高度生殖医療、体外受精など)を数年にわたり受けていずれも失敗した例×3
◯女性:第一子のとき妊娠腎炎にかかり一時母子ともに危険な状態になったことがあり、第二子の妊娠時の体調管理をオーダーいただいた例×4
など。
いずれも中々にハードなオーダーであり、正直な話をすると手の鍼でうまくいかなかったら「諦めてください」といわなければならないかなと内心を思っていました。
いずれも五治処方という専門処方もしくは気脈療法という処方と相応点療法とを組み合わせて施術した例であり、こまつ式の手順に従い、各種指標=目印を確認した上で、生体反射テスト(キネシオロジーテスト)を用いて篩い分けをして処方を決めていったケースである。
※本に書いているまま結果が出るのであれば本を参考に自分でやれば良い
そもそも高麗手指鍼術自体がそういう発想のもとに設計されている。
施術回数は15回〜40回程度。施術期間は最短で3ヶ月、泰心堂の最長例は17ヵ月での妊娠報告。
なお、2ヶ月未満については数字に入れている治療院が多数あるようだが、時機的なこと考えてみると、さほど寄与しているとは考えられない。故に泰心堂の場合は最低3ヶ月を成功した例の基準にしている。
※体外受精や人工授精については若干状況が異なるが、基本的にはこの基準。
ただ、
万人に対して有効であるか?
絶対に妊娠しますか?
という質問に対しては答えられない。
そもそもざっくりとした話で申し訳ないが、不妊治療を鍼灸院でという人の数自体が少ないし、その少ない中で妊娠に至る人は3割未満。15%程度が出産まで辿り着ければ数字としては成功と言えてしまうのが現実的なお話になります。
その15%に入っていただきたいから私たちは手を尽くすのですが、それでも絶対はないし、人事を尽くして天命を待つというのが心境。
幸いにしてそれなりの成功例と成功率を今の所維持してはいるが、ままならない問題ですね。
ただ、本質問に対する回答としては、不妊状態の解消に繋がると考えられるケースは現場の施術者としてはあると考えています。というのが答えになるかと。
さ、そろそろ眠気もでてきたことなのでこの辺で。
また違う記事でお目にかかりましょう。
泰心堂 藤井崇次
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