質問に答えます。その87 出張施術道具
ども、からだのエンジニア&からだの専門家 鍼灸師&整体師 泰心堂 藤井崇次です。
ええと前回、前々回分の原稿ですが、案の定、公開するとかなりまずいものになってしまったので没となりました。
正直、表に出せない原稿の方が多いような気がします。
気を取り直して、毎年ある意味で恒例なのですが、出張用の施術道具のお話をしましょう。この手の質問は4月~6月になぜか集中していただくんですよね。なので、何度かお話していますが、まあ、これも一つの風物詩として。
では、本文に入っていきましょう。
まずド~ンと写真を掲載しましたが、これ私の基本的な施術道具。
〇消毒薬
〇指頭消毒器(アルコール綿花)
〇灰皿
〇線香入れ(アロマ線香)
〇ライター オイルライター※ガスライターの方がお勧め。
〇もぐさ(雪の華)
〇チタンてい鍼(ていしん.com 小越先生作)
えっとこんなもんで十分です。
ちなみに別バージョンがこれ
違いは、
〇指頭消毒器→個別包装のアルコール綿花
〇チタンてい鍼+銀てい鍼
〇ライター オイル式→アークライター(プラズマライター、電子ライター)
〇もぐさ約1/3容量
〇蓬莱灸管製 糸状灸
〇ハンドクリーム(艾柱が置きにくい時に使用)
〇ぺんてる 筆Touchサインペン
これくらい。あとは人によっては灸熱緩和紙などを入れてもよいかと思います。
まあ、ぶっちゃければ、てい鍼ともぐさがあれば足ります。
そんなの一部の人だけだろう!とか度々言われますが、だったら一部の人になればよいだけのことです。
ようこそ、こちら側へ。
半分くらい本気は余所に置いておいて、
1.道具はできるだけコンパクトに
2.メリハリをつけて短時間施術
3.疑われない施術を
これ、お客様宅へ行く人は覚えておいてくださいね。
1.は忘れ物を防ぐという意味もあります。これ治療院さんでも多いのですが、鍼の回収し忘れは結構多い。抜き忘れはさすがに少ないけれど、床に落ちていたり、タオルに引っかかっていたりなんてのは心当たりある施術者さん多いのではないでしょうか?
2.は基本的に出張先には長居をしない。まあ、施術終わってお茶の一杯付き合ってくるというケースはありますが、それはある程度関係性ができてからのお話で、原則は長居をしてはいけません。あと出張施術こそはっきりと成果を出さないと二回目以降呼んでいただけません。なのでメリハリつけて短時間で効果を見せる必要性があります。
3.疑われない施術というとまあ、ちょっと抵抗があるかもしれませんが、別にご家族の方がいらっしゃるケースや紹介者の信用を借りることができる場合でも気を付けるにこしたことはありません。特に置鍼時間などお客様だけが動けない時間というか施術者がこっそり離れることができてしまう時間を作らないことは大事です。
あとは先方の状況によっては、体位変換(姿勢の変更)が難しいケースやスペースの関係で横になって施術ができない例などもあります。
たとえば、
私の直近のケースでは、階段踏み外したあとひざ痛で歩行困難。熱感、腫脹ありで屈曲困難のケース。この方の場合、椅子に座ったまま、手をテーブルに乗せた状態で、指先にお灸をすえてひざの調整をしました。
都合3回で、歩行動作回復。念のため、整形外科での診察も受けていただきましたが靱帯なども問題なしでした。
滞在時間は20分、施術時間は10分程度×3回ってところですね。
もともと泰心堂の利用者さんなのでさくっと行ってさっと帰ってきた形ですね。
さまざまなケースが想定されますので、対応幅の広い道具を用意して技術で対応するというのが基本になります。
なぜ、お灸推しかというと、顧客満足度とメリハリの問題です。
顧客満足度は要は施術を受けた感と「これだけやってもらえば~」という満足感。メリハリは動静、あるいは虚実というか、要は前後を比べるためのイベント(兆し)がしっかりと感じられたかどうかの問題です。
鍼を用いる場合は、いわゆる”鍼の響き”というやつになるのですが、これ、毎回狙って出すのは難しいらしいです。(※積聚治療の場合は当たり前に利用するものなのですが)
また、これ様々なニュアンス(感じ方)があるので、好みとあっていない場合は鍼に苦手意識を持ってしまう場合も多々。
その点、灸の場合は熱いだけですので、適当な加減で声をかけてもらうなりをすればよいだけのことですから調整は簡単ですね。
ほかにもコスト(経費)の問題だったり、施術時間だったり、まあいろいろあるのですが、とにかく刺激をする側にも、刺激を受ける側にもわかりやすい”熱”が加わったという感覚が余韻として残るのでわりとはっきりとした前後差を感じていただけます。
・・・・・・ということは、「これで十分」と思っていただきやすいということでもあるので、施術時間をながくしなければ満足してもらえないという時間と料金の反比例から外れることが簡単にできるようになります。
ただし、これ”もぐさをひねる”ことが前提ですからお間違いなく。
先ほどの経費の話から、いわゆる簡易灸(台座のついた薬局などで売っているお灸)は1個当たりのコストが20~40円程度。燃焼時間は3~8分。素人が自宅でセルフケアとして利用するならばまだしも、プロが出張施術でこれを用いるのは、無駄以外のなにものでもありません。ええ、1個で量産型ディスポ鍼2~3本分の価格で、待ち時間が長い。しかも一か所に2~3個などと回数が増え、箇所が増える度に金銭的コスト、時間的コストがかさみます。
ええ、この時間を小粋なトークでつなげるのでしたらまだしも、無言とかだとたぶんお互いめっちゃ気まずい時間になるのではないでしょうか?
艾をひねる場合は、g=200~300円くらいで、燃え尽きるまでは秒単位。圧倒的にコストが安い。
ピンとこない方のためにざっくりと10g~13gで粗品でもらうような小さな箱型ティッシュくらいの大きさ、価格が2000円程度。上の写真の無印良品の円型ケースで小分けして30個分以上。一つまみで3~5壮(個)捻ることができます。ケース使い切ったところで60~70円くらいってことですね。この場合は100壮を軽く超える艾柱を作っている計算ですね。
という感じで、お灸って実は施術者側にもメリットが大きいのです。
ついでですので簡単に泰心堂方式の出張施術のパターンを書いておきますが、
1.挨拶
2.状況の聞き取りと局所あるいは主題の確認。
3.基本検査+局所、主題にかかわる検査
4.全体にかかわる調整
5.再検査と局所あるいは主題の変化の確認
6.主題に対する調整
7.再検査と変化の確認
8.クロージング:次回の施術予定の確認と会計
9.挨拶をして帰る。
4.はほぼ決まった場所に対して灸を1~3壮すえます。これで局所、主題の変化量が十分であれば、6.意向を省略してクロージングへ。蛇に足は不要です。
多少状態にや主題により手続きは変化しますが、だいたいこんな感じですね。
検査は毎回行うものと個別に行うものとがあります。
ほぼ決まった場所=基準点。これは私、泰心堂が基準として決めている、もしくは決めた箇所のことです。その場でキネシオロジーのテストをさらっとして、メジャー&マイナー(因果関係)を利用して集約という手続きを入れています。
大事なことはただ、鍼を打つ、灸をすえるのではなく、しっかりと変化を確認することです。鍼や灸はイベント(兆し、きっかけ)であって治癒反応そのものではありません。イベントを通じて、全体がどのように変化したか、局所や主題がどう変化したかを確認する作業が施術。
故に、 診即治。
これで、できるだけ無難に『出張施術道具について教えてください』という質問に答えられたかと思います。
それではまた。
0コメント