頭の調整で”めまい・頭痛”が楽になるわけ
ども、からだのエンジニア&からだの専門家 鍼灸師&整体師 泰心堂こと藤井崇次です。
早いもので、もう12月ですね。世間はあと1週間ほどでクリスマスとなんとなく浮かれムード。こうなると私もクリスマスプレゼントかお年玉かを考えないといけませんかね?
ま、そうは言っても私、商人なので商売につながるものにしないと筋が通りませんのでどうしましょう?
『頭の調整で”めまい・頭痛”が楽になるわけ』ということで今回はこの話をしていきましょう。
結論から言えば、脳関髄液(CSF)の循環が良くなり、頭部拡大状態が解消され、頭蓋内圧力が低下することで脳機能低下状態が改善される(と思われる)から。
何度も書いていますが、問題は蓄積疲労状態であり、蓄積疲労状態のわかりやすい目印は頭部拡大状態。いわば、蓄積疲労状態=頭部拡大と言っても良い。
頭部拡大状態ってことは、本来の状態よりも頭蓋内圧が高くなり、内側から頭部が押し広げられている状態と考えられる。ということは、頭蓋の関節自体も離開方向への圧迫ストレスを常時受けているということで開こうとしているのだから、そこに指向性の圧力を加えると関節がズレ、全体のフォルムが歪みやすい状態にあるということ。また、内圧は別に膜・骨・頭部の筋肉だけに向かうのではなく、全方向性に圧力が分散されるので当然”脳”自体も圧力を受ける。つまり圧力というストレスに脳がさらされるわけで、その結果機能低下を起こし、全身性の筋緊張、神経過敏あるいは鈍麻など自律神経系の異常を引き起こすと考えられる。
そしてそれは鍼灸やほかの徒手療法系でいう”回復力”(治癒力、生命力、復元力など)の低下を引き起こす。
当然、現代医学でいうような”自然治癒力”も低下する。
結構誤解があるようだが、そもそも”自然治癒力”は東洋医学用語ではない。皆さんもご存知の古代ギリシアの賢人ヒポクラテスの「自然は最良の医者である」が語源。そしてクロード・ベルナールやウォルター・B・キャノンを経て、現代医学の方で論じられた考え方。
東洋医学においてはそもそも”自然”を相手にしているのだからことさら自然治癒力を強調するのはそもそも奇妙なお話なわけです。が、説明の簡便さとイメージの問題で使っているにすぎません。
ま、それは置いておいて要は回復力、調整力、調律力といったもの疲労回復のために割かれて、リソース不足に陥っているのが現代人の体。
疲れ切ってしまい、不要になった補正的歪みもそのままになっているので、身体が重い、だるい、やる気がない、なかなか疲労が取れない状態に陥っている。
だので、反射調整により、補正的歪みを取ることで、神経作用の阻害原因を解消し、各種体液(血液、リンパ、漿液、間質液、脳脊髄液など)、エネルギー、気などの循環を促してあげるのが施術行為というもの。
クラニアルテクニックと呼ばれる頭蓋骨調整や脳脊髄液循環を調整する術(脳脊髄液調整法、CSFプラクティス)などは高次中枢である”脳脊髄系”を間接的に調整することで体全体の不要な歪みを取り、体液、エネルギー、気などの循環を促すことで身体機能の調整を図る方法の一つ。
と、ここまでが前提というかお題目的な話。
ここから具体的というか結論に向かう話になるのだけど実はこれ簡単なのでさらっとお話をしましょう。
今回のお話の主眼は、めまい・頭痛なのですが、その他の症状でも症状発生の機序=順番は基本的の同じ。疲れて解消できなくなったから、ここに負担が掛かってますよって教えるために症状が出ます。
どこに症状がでるかはその人の体質や働き方の問題で負担となる箇所が変わるので出てみないとわかりません。ただ、発生の機序は基本的には共通です。内部的なものは疲労から、外部的なものは外傷の程度と外傷に対する治癒反応と疲労状態の兼ね合いの問題になります。
現象としてめまいは、小脳など脳幹系の器質異常、同機能異常、神経断裂など器質異常を伴う知覚異常、三半規管系の機能異常、自律神経の機能異常に伴う知覚異常、妄想など心理的要因など様々な原因が考えられます。
このうち徒手療法系が対応できるのは、原則的には機能異常だけ。アトピー性皮膚炎などでは機能異常の結果である過剰炎症が治まった後に皮膚の再生などが起こりますが、これ自体は鍼灸や徒手療法の結果というよりも人体の器質再生機能が正常に働くようになったという印象です。
頭痛はというと、これはタイプによっていろいろに分けられています。一つは脳卒中などの前駆症状(”バッドで殴られたような”とか異常な痛みや閃輝暗点など通常ない状態を伴う)、筋緊張性、拍動性、虚血性(貧血を伴うもの)などまあ、いろいろな言い方があります。変わったろところでは、頭部筋肉の筋筋膜性疼痛を原因とする頭痛などもありましたね。
脳卒中系は手が出せないというよりも脳神経外科など専門医の領分なので徴候があったら手を出さずに迷わず「専門医の診察を受けてください」と言いましょう。
それ以外のものは外傷を除けば基本的には体液循環不良の話と、神経の異常興奮(自律神経の機能低下)の問題になります。
つまり頭の能力が落ちているんだろうなって話ですね。
で、従来型の鍼灸での施術を考えると次のような処置になります。
1.痛みの出ている領域の該当面、該当経絡を考える。
→陽明面頭痛、太陽面頭痛、あるいは足の太陽膀胱系頭痛とか
2.該当の面、経絡の虚実(陰陽表裏虚実感熱など八綱で考える場合もある)を考える。
→ガンガン痛いなど活動性の頭痛は実、重い、だるいは非活動性なので虚など
※流派によっていろいろな定義があるので施術者の方はご自身の流派に沿ってお考え下さい。
3.経絡を選定し、経穴を選ぶ
→同経の巨刺、同名経の遠道刺、表裏関係、対偶関係や五要穴配穴、五行穴配穴、原原配穴、原絡配穴など多数の方法論あり。
4.反応の確認
5.クローズあるいは構築しなおし。
「ま、多少の慣れは必要ですが、特殊なことや大したことは書いていないので、国家試験を通った鍼灸師ならば知っていることですから、ほぼ瞬間で選べますよね。」
ってうちに講習に来た若手に話したら、ひかれました。
なんで? こんなのフローチャート書いたらすぐじゃない?
おっと話ズレた。
私もまた以前はというか7年くらい前までは従来型で施術していたのですが、少々引っかかることがあり新規論理式を構築することにしたわけです。
あまり暴露するのも何なので引っかかったことを書いて濁しておきますが、
「神経の反応速度を考えたとき、鍼灸の置鍼って長すぎない?」
「脈拍って秒単位で早くなったり、遅くなったりするのになんで長時間施術するの?」
「そもそも治療院で時間的に物理的に、生理学的に治癒するわけではないのに、なぜ、治療院で治そうとするの?」
「痛みを取る、抑えることと治癒することは違うよね?」
ま、こんな感じです。
たぶん、三つ目が気になると思うのでちょっとだけ。
怪我が一瞬で治る人はたぶんいないでしょう。もしいらっしゃたら専門の医療機関に話を通しに行きますので是非お会いしましょう。ま、まずいないと思います。
でも、痛みが一瞬で消えるということはままあります。正確には痛みに気をとられなくなるって現象ですけどね。ほら「痛いの痛いの飛んでいけ~」ってやつ。あれもまあ、原始的な治療なんですよね、実は。この現象のロジックは実は”気功”療法の根源的ロジックと全く同じです。「泣いたカラスがもう笑う」ある意味で真理ですね。
また、これは時短施術のそもそもの発想と関わるのですが、”治癒”ということを真摯に考えたときに、3秒の施術だろうが、1時間の施術だろうが短時間には変わりがないということ。これ、わからない人は多分「痛みを取ることが治療」と思っている人が大半ではないかと思います。もう一度、痛みを取るということと痛みが取れるということを考えてみるとわかることもあるのではないかと思いますね。
簡単にいうと私たち”治療家”(施術者)は何をしているのか? という根源的な問いですね。
まあ、色々と考えた結果私はクラニアルテクニックの必要性にたどり着いたわけです。
頭の機能が落ちているのだから頭調整すればいいじゃん!? と安易な考え方も少しあったのは事実ですけどね。
基本的に泰心堂では頭部拡大状態と頭部の歪み状態を確認します。頭部拡大状態は側頭骨に手のひらを当てて指を伸ばした時頭頂部で触れる、重なる状態であるか否かです。触れない人は頭部拡大状態。ついで歪みの状態を確認します。頭部の形状そのものや関節である縫合などに手を当てて可動域を見たり、脳脊髄液の循環リズムである一次呼吸に連動した関節運動をチェックしたりすることで歪み方を診ていきます。問題があるときは頭を持った時にずしっとした重さがあり、首の動きなども滑らかではありません。
めまい・頭痛の場合は特に対応した骨、関節の動きが悪いように感じます。
軽圧を用いて動きを誘導するように圧をかけることで調整し、一次呼吸と連動あるいは一次呼吸を強調し、脳脊髄液の排出を促すイメージで調整を掛けます。
うまくいったかどうかはチェック項目を確認して、頭部拡大状態の解消、基準点のズレの狭小化、一次呼吸に合わせた拡大縮小(屈曲伸展)の動きの連動性、頭の重量感や首の動きなどを改善がどこかでみられたら施術が成功。
ついつい、あちこち負いがちになる施術者ですが、クラニアルテクニックは少しの刺激でも体に与える影響は強いので、一通り行ってみて変化しない指標は、今は変化しないとすっぱりと割り切るのが効果をだすこつになります。
脳脊髄液の循環が促されると、頭部拡大状態(脳脊髄液の滞留)が解消されるので、頭蓋内圧が低下し適正に近づいたと考えられます。内圧が減るということは、押し広げていた圧が減るということであり、過剰に伸びていた膜・筋は相対的に弛緩状態になり神経に対する持続的圧迫も解除、血管に対する圧力も減。脳への圧迫も減るので正常化の期待が持てます。
その結果、めまい・頭痛が軽減されていくと考えられます。
うん、長くなったのでこの辺にしておきましょう。
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