質問に答えます。その82 どのツボを使えばよいですか?
ども、からだのエンジニア&からだの専門家 鍼灸師&整体師 藤井崇次(泰心堂)です。
ええ、本日の質問は、・・・・・・正直、もっと面倒な質問だったりします。
ええ、思わず「プロなら自分で考えろ」と言いたくなるくらい。
ええと今回は鍼灸師モードでお話しますが、どの状態で、どのツボ=経穴を使うかって話は流派や先生方にとって秘伝扱いのケースが非常に多いですので注意が必要です。取り扱い注意レベルの”飯のタネ”ってやつですね。
教授いただくには三顧の礼は当たり前の、大金包(支度金)包んで弟子入りで○年下働き~の世界の話だったはずなんですけどね。
このご時勢、気軽に教えてくんが大量発生しています。
鍼灸の専門学校や鍼灸大学も基本的に免許取るための機関でしかないので、最低限免許を取得可能なレベルしか教えないように気を付けているようですし、こういうある種の施術法難民が発生するのは仕方がないことかな?と思わなくもないですし、そういう先生方って、若かろうが、齢を重ねていようが、施術教授ビジネス業者にとってはただのカモに過ぎません。
また、特徴として、数多くの手法を知っていながら、一つも身についていないので常に新しい必殺技=施術法を探し続ける傾向があります。
ちなみに身に着けたうえで、刺激を受けるのはよいことだと思いますけどね。
まあ、少しばかり自身と自信と覚悟が足りのではないでしょうかね。
こういう方は独立開業よりも、ある手法に特化した施術院などでの就職がおススメです。だってなにが良いかは、その業者が選定してこれって一式渡してくれますし、自身がよくわかっていなくても業者の理念、信念などをそのまま利用すれば現場に立てますし、責任は上長が取ってくれますから覚悟も少なめでOK。
そのほか、いろいろ人のせいにできますので、たぶん、楽だと思いますよ。
別に悪いことではないですし、顧客の利益に貢献できますしね。
話を戻しましょう。
この先のお話は、まあ、積聚治療という特殊な鍼灸術を創始者が学び、様々な術式を解析した私の完全なる私見ではあるのでそんなもんと思っていただければよいかな程度に捉えてください。
「どのツボを使えばよいですか?」という質問に対して、私の回答は明確です。
すなわち
「どこでも良いです。ただ、使いやすい部位が良いですよ」
ね、明確でしょう?
そうですね、たとえば、頭痛に下腹の経穴使ってもOKですけど、異性間の場合はセクシャルハラスメントの問題に留意して、しっかりと許可を取ってから行うべきですし、痛みでうつぶせができない方にうつ伏せで背面の経穴を刺激しようというのは配慮が足りないと思います。
まあ、その程度です。
こういう話をすると、同業の中でも結構、ご意見が出るようですが、
「だってからだの構造と、治癒の機序(機能と順番)を考えるとどこでも良いんだもの」
と私は長年の研究から解を得ています。実際問題として、ボンハン学説は皆さん知っているように追試がクリアできませんでしたし、経絡敏感人の研究もまた研究として感覚だよりで微妙でしたしね。
そもそも、古典においても「同病異治 異病同治」とありますから、これを数学の集合論で考えれば、ね?
解剖学的、生理学的というか脳神経学的に考えても、そうなりますしね。
この辺って、『家伝鍼灸物語』(深谷伊三郎著 三景)などにも似たようなこと書いてありますので考察してみるのも良いのではないでしょうか。
経絡―経穴などはこだわって使うのは良いです、顧客に対して安心と信頼と効果への期待を増大させる方法論になりますし、実際そういうものとして、作られたのが経穴論とか東洋医学なので、間違ってはいません。もともと説明論(ある種の自慢話)として構築されたものですしね。
ただ、使えば効くという代物ではないです。生体電流により支配されているとはいえ、電化製品じゃないですからね。45度斜め上から手刀でチューニングとか、ボタンを押すと弱パンチとかそういうものじゃありません。
経穴=ツボは、使えば効くのではなくて、効かせるものです。
深谷伊三郎先生なんかはこの辺を明確に口伝で残されていたりしますね。なぜかいつの間にか深谷”流”になってしまったそうですが。あと本読んだだけのなんちゃって深谷流が多すぎますね。
あとは反応が良いところ=過敏圧痛点を使う、使いやすいところを使う、意味づけしやすいところを使うくらいですかね。
自称研究者の方はプラセボ効果(本来は、偽薬効果と良い、新薬などの効果比較実験に用いられる概念。)を否定される方が多いように聞きますが、顧客にしてみればプラセボだろうが、催眠だろうが、結果が出ればそれで良いわけです。
そういう意味で、経絡的な説明、五行論的な説明で納得し、よいスパイラルに乗っていくのであれば、それはそれで意味のあることです。
ただ、それは説明、説得、納得的な話であり、経絡経穴の効果とは分けて考えるべきことです。
まあ、複雑な話をしてもしょうがないので、よりシンプルにしてしまいましょう。
1.目印を取り、事前評価(硬い、痛いなど)をする。積聚治療においてはこれを”指標”と呼称。
2.適当な一穴を取り、鍼による操作、あるいは灸をすえる。
3.目印の再評価を行い変化量を観察する。
4.2ー3の手続きを繰り返し、明確な変化を感じなくなったら、次の一穴を取り同様のことを繰り返す。
5.次の一点に移っても変化を感じられない状態になったら終了する。
実は、鍼灸治療の構成ってこれだけです。
簡単でしょう?
ちなみに補寫を逆にしてもこの基準に従うと結果が出てしまいまし、近いところを使おうが、反対側を使おうが、遠いところを使おうが、表裏、対偶、共軛、相生、相克だろうが、有意な差は今のところ観察できていません。
なので、どこを使えばよいですか?という質問に対しては、危険性がなければ使いやすいところを使えばいいよという回答になってしまうわけですね。
と、そろそろ出かけるのでこの辺で。
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