質問に答えます。その80 短時間施術のメリット

 ども、からだのエンジニア&からだの専門家 鍼灸師&整体師 藤井崇次(泰心堂)です。

 本日は土曜日ということで午前中を中心とした施術でした。今日は午後に往診が一本入りましたが、施術所の業務としては14時まで書類作業を中心にすすめる予定です。



 さて、写真はなんとなくホットケーキ気分だったのでロイヤルホストさんのホットケーキ。

 そして本題は、実は79の続きでもあるんですけど、短時間施術のメリットというお話です。

 正直なお話をすると、私にとって長時間施術にはデメリットしかありません。というか、手加減が非常に難しくなります。なんというか如何に効果を出さないように気を付けるか?やりすぎにならないようにどこから狙っていくかなど搦め手と言えばよいのでしょうか?狙っているところに至るまでを引き延ばすことで時間調整をしているイメージがありますね。


 ただ、短時間施術が儲かる!? かというと実はそうでもありません。

 施術の目的が何であれ、顧客満足度が下がるとリピートしませんし、リピートが少ないと紹介も少なくなる傾向があります。なので、しっかりとした意図がなく、戦略がなく、短時間施術に切り替えてしまうのはいかがなものかと先に指摘しておきますね。


 そうですね、例えばですけど、がちがちな肩こりのお客様。緩めるのにどこに対しどのくらいの力加減でどれくらい時間を掛けますか?

 もちろんケースバイケースです。

 私の場合、肩は確認くらいしか触りません。むしろ、手先、足先など遠いところからアプローチする場合がほとんど。割合的にはクラニアルテクニック(頭蓋調整)などの割合もそこそこありますね。

 この場合の方の緩み方と、直接方に対して力を掛けていく緩み方では、筋肉の状態と解除の仕組みが異なります。※一部例があり


 どういうことかというと、泰心堂方式の場合、肩を固めている理由がなくなったので、肩こりが解除される。つまり、筋肉の傷みはほとんどない状態で緩みます。

 ところが一般的(? これが一般的なのは問題があります)な、力押しによる肩こり状態の見かけ上の解消の場合、肩を固めなければならないのに、ダメージを受けて固まることができなくなり、外見上解除されたかの状態になる。つまり、筋肉が痛み、筋肉の修復が必要な状態ですね。この加減がからだの回復力に対して大きくズレると、いわゆる揉み返しが出たり、謎の好転反応なんて言葉を使わなくてはならなくなります。


 何度か書いていますが、揉み返しではなく、炎症=修復反応、つまりからだにとってダメージ大の状況。もっと言ってしまうと、治ることを期待して施術を受けたのに、壊して治している最中という本末転倒なお話になっているということですね。

※時にはこういう施術が必要となるケースも稀にあります。

 そして、事態が好転していない好転反応が起こっているというまるで冗談みたいなお話。

 緊張緩和や緊張緩和による血流促進は、からだの解剖学的な位置関係、生理学的な仕組みを利用するともっと簡単に無理なく起こります。


 そして、神経反射を利用した方法論は、一瞬で変化が起こりますから、持続圧を掛けないといけない理由はありません。

 それを踏まえると、筋緊張=いわゆるコリを解消するのには、緊張しなさいと言う命令が解除されればよいだけで、その反応は一瞬で起こりうるということになります。


 この間、緩消法を学んだという人から「一瞬で解除しないじゃないか!?」という謎のメッセージをいただきました。緩消法は痛みの治療院 代表 坂戸孝志先生が考案した生理学に基づく筋弛緩法であり、面積にして1立方センチメートル未満(指先の面積がそんなものい)の筋緊張が特定動作を特定圧、特定方向にかけて状態で行うと無緊張状態に近づくというお話ですね。

詳細は、緩消法で検索。

 これね、筋緊張て割と”層”のように積み重なっている感触があるので、一層ずつ緩めていく感じですね。そして、指が当たっている範囲、圧で干渉している範囲が緩んでいくので、ピンポイント弛緩法って感じですね。

 つまり、緩めたい範囲に細かく細かく緩消法をしていかないとダメよってこと。


 ただ、単純な神経刺激、反射で緩まないものに関しては非常に便利で、怪我しにくい、筋緊張緩和方法だと思います。


 はい、話を本筋に戻しましょう。

 時間を掛けて緩めないと緩まなかったと勝手に考えている肩こりが、ある特定動作などで数瞬、数秒、あるいは数分で今まで以上に緩むとしたら、施術者は頑張らなくてよいし、お客様側も「痛気持ち良い=効いている証拠」という嘘を信じて耐えなくてよいわけです。

 身体的にも、精神的にも、そして時間的にもメリットが大きくなるわけですね。


 同様に骨盤調整もほとんどが数秒で終わります。何故ならば骨盤角度が見た目上おかしくなっているのは、寝方と普段の歩き方など片側性かつ偏りのある使い方によるものです。で、それらは筋肉のテンションによって調整されているわけで、筋緊張が数瞬、数秒で変化するのならば、骨盤位もまた数秒で変化するのが道理というものです。


 で、多くの施術業者がどうもここで終わっているらしい。お客様や従業員さんが来た時にお話を伺っていると。


 むしろ本番はここから。

 表面に出ている筋緊張、骨盤位のズレ、頸椎や背骨の歪み、からだの感覚異常などが取れた後、その状態が適正ですか!?と体に聞くことがZero-Resetと名付けた泰心堂のメインの調整です。

 料理でいうと、表面的なコリの解消、骨盤などのからだのズレの調整は下ごしらえ。もちろん、素材の味を生かすのならここからあまり手を掛けなくても良いでしょう。

 ただ、ひとのからだは収まりの良い位置に収まろうとする性質を持っています。これ、理科社会などででてきた恒常性の維持→ホメオスタシス(クロード・C・  ベルナール→ウォルター・B・キャノン卿あたりのお話。

 なので、ここでもう1段階調整する必要性があるのでは? というのが私の考え。

 要は、A→BのみだとAに戻りやすい。なら、A→B→Cなら戻るとしてもBになるのではというお話。これが私が積聚治療で教わった「変化がなくなる(=C)まで」という考え方に近いのではないかと思います。

 実際、積聚治療では段階を踏んだ調整があり、

1.接触鍼術による調整(体の様子を惑わす要素の排除)

2.脈に対する調整(脈レベルの調整)

3.背部兪穴に対する調整(1~4か所に対する鍼操作)

4.残積の処理(腹の反応が十分に取れていない場合にのみ)

この3~4段階を経ているわけです。

 施術として確認→検査→調整→確認のサイクルが綺麗に構成された形式だと思います。

 ちなみにこの工程で全体で20分未満でしょうか。人により体位変換(仰向け→うつ伏せ→仰向け)がうまくいかない場合、もう少し時間がかかりますね。

 そしてそれぞれの段階の調整終了の目安が、”変化しなくなるまで”です。

 そうすることにより新しい均衡にからだが変化したことを認識させていくわけですね。


 なので、段階的な調整を泰心堂では採用しているわけです。


 参考までに泰心堂の基本パターン

1.ヒアリング・検査(痛み・不快感と誘発動作、関節可動域、筋反射、キネシオロジーなど)

2.頭蓋調整(クラニアルテクニック)

3.上部頸椎

4.四肢末端の調整、筋硬結への処置

(5.頭蓋調整)

6.クローズ

それぞれの段階に判定用の検査や指標は組み込んであります。


2.3.4.5が具体的な施術手続きであり、2.3.が中心から末端に向けての調整、4.が末端から中心に向けての調整になります。

5.は人によって美容であればRe:Chargeが組み込まれ、症状が取り切れない、今一つな状態ではマニュアルでのクラニアルテクニックが入って締めという感じです。必要がない時は省略されます。

全体で基本20分構成ですね。※枠が30分なのとやりすぎ防止のため。


で、こだわればそれぞれの段階で、時間を掛けることも可能です。クラニアルテクニックとか深いですし、応用範囲が非常に広いので、頭蓋だけで90%の調整をしているという某先生もいらっしゃいますし、逆に四肢末端にこだわっている先生もいらっしゃるようにどこからでも施術って作ることが可能ですし、効かせることは可能です。


どう組み合わせるか、何をメインに狙っていくかは施術者の先生次第ですね。

なのでしっかりとどの様にからだを診ているのか?を意識して、施術を組み立てましょう。

また現在核となる調整法のない先生方は、パッケージとして購入してしまうのもありです。少なくとも下ごしらえレベル(基本パターンくらいしか公開できませんから。)はそれで十分なわけですから、あとは現場で気づいたところに調整を加えることから始めると良いでしょう。

※パッケージは開発者の先生の膨大な経験、知識、悩みなどから生まれていますから、パッケージ以上にネタ(技)が豊富な先生が先生がほとんどです。


私の場合、”頭”を重視していますので、鍼灸を施術のメインに据える際も、徒手調整術メインで行く場合も、まず頭蓋調整からのスクリーニング(ふるい分け)を行います。


1.頭がうまく働いているか?

2.中心軸の歪みはどうか?

3.四肢末端への影響はどう出ているか?

4.残った違和感の処理(頭蓋調整が多いかな?)

どのような症状の方が来てもこのようなイメージで施術を組み立てていますね。

だって、整っているのなら手出ししなくてよいわけですし、頭が中心なので頭から始めて、頭で終わった方が良いように思うわけですね。


全部やろうと考えると、たぶん大変ですのでまずは基本術式+αで施術を組み立てていって、顧客の満足度との兼ね合いで時短できるなら時短してしまうというのが素直に時短施術に移行するコツでしょうかね。


と、今日は合間合間に書いていたのをまとめたのでかなり散文的になってしまいましたね。

一応、いただいた質問には答えられたかと思います。

習志野市大久保の鍼灸&整体 泰心堂はりきゅう院

臨床経験10年以上、総施術回数は7万回以上。 頭痛、めまい、疲労感を伴う体調不良などの取り扱いが多い各種特殊鍼灸術を用いる鍼灸院 こまつ式高麗手指鍼術、DRTなど認定院 【ご予約はメールまたはWEB予約から】 taishindo@outlook.jp 047-404-5225

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