質問に答えます。その78『頭部神経痛が疑われるケースの注意事項』
ども、からだのエンジニア&からだの専門家 鍼灸師&整体師 藤井崇次(泰心堂)です。
10月5日の本日はなんとなく、重い空模様から。予報では晴れのはずなんですが、張れるんですかね?
ええと今回の『質問に答えます。』は、ちょっと扱いが微妙なので徒手調整術研究部の方で例として扱わせていただいた髪の毛を触るだけでも痛い”頭痛”のお話に関連しての質問に答えます。
さて、上手くリンクが貼れているでしょうか?
おさらいですが、頭部神経痛は、”何らかの原因で後頭神経、三叉神経などが痛む”ことと定義されています。私は、はり師、きゅう師なので診断権は持っておりませんので、正確な病名の診断については医師による判断を支持しています。なので私が扱った事例は専門の病院(頭痛外来)などで診断を受けたケース、症状からそれが疑わしいケースとが混在していますのでその点はご注意ください。
さて、このタイプの頭痛の最大の特徴は”激痛”です。
また、神経過敏タイプでもあるので、下手に触ると増悪します。
これを踏まえて質問に答えていくわけですが、そもそも質問がこんな内容。
「泰心堂先生 はじめまして。
北九州の鍼灸師 Nと申します。現在、当方に頭部神経痛のお客さんが通院されており、施術を担当しているのですが、なかなか改善が見られません。毎回蹲るほどの痛みに耐えているさまを見て自身の至らなさを痛感しております。
何か施術のアドバイスをいただけたら助かります。
~以下初見と行った処置についてつらつらと~」
大変、詳細に書かれていて、真摯に向き合っている真面目な先生だなと感じました。また、書き方より苦悩のあとがみてとれました。
が、ぶっちゃけ話で答えますが、どうしようもないのなら手放すのが一番です。
そもそも、頭部神経痛ってなかなか一般の病院では判断できません。MRIにもX-rayにも、CTにも写りませんから。個人的には火照り感をうったえる方もいるのでサーモ―グラフィーとかに写るのかな?とか思いましたけど、あれも大きな温度変化がないとどうなんでしょう?
なので、クライアントに聞いた感じではどちらかというと除外診断をして病名確定のような感じのようです。
※現状を伺って「頭部神経痛とか言われましたか?」と聞いたら、「先生、良く知っていますね」って3件ほど言われました。ええ、掴みはこれでOK状態ですね。
で、この症状の厄介なところは、神経過敏状態があり、血管拍動や一次呼吸に伴う筋運動でも痛みが出てしまうこと。ひどい時には呼吸するだけでも痛いそうです。
何名かは「頭抱えて蹲って、顔をしかめて荒い息をしていました。まるで漫画でしょう?」と自嘲気味の発言が。しかも、まったく同じ表現で、ああ、こうなるんだと思いましたね。
また状態として頭部表層の神経過敏と神経興奮という症状であり、その支配神経からすると三叉神経と後頭神経。三叉神経はいわゆる三叉神経痛の処置と同じなのでわりと鍼灸師的にはなれた処置だと思います。問題は後頭神経の方で、後頭骨(C0)-第一頸椎(C1)-第二頸椎(C2)、このあたりのアプローチをどの段階でどの程度狙って行うかが実は非常に難しい。
軽症のものであれば、1~2週間で自己治癒に至りますし、それなりに刺激をしても痛いだけで済みます。重度のものになると激痛で日常生活に支障が出るレベルで、処置後、激痛で動けなくなったり、ひきつけを起こすことも考えられます。それくらい”激痛”って厄介なんです。
ちなみにですが、最近言われるスマホ頭痛の一部はこのタイプです。比較的軽症が多いようでちょっと痛いなくらいでさほど続きませんので結構見過ごしがちですね。
鍼灸師的な考え方をすると、「こういう時って、天柱、風池だ!」ってパターンに陥りがちですが、そもそも経穴に特定の症状や臓器に対応した情報はありません。ええ、だって毎回そのように反応しませんから。
※足三里に刺鍼をすると胃酸過多傾向を示すという実験データがある一方で、足三里刺激により神経性胃炎が治癒に至ったという症例もある。つまり、これは体の内部で選択的反応が行われ適応した結果治癒に至ったと考える方が素直。つまり、刺激に対して体が反応したというだけ。ただし、刺鍼部位に対する緊急反応(止血、傷の治癒)は起こる。
また首に問題があるから、首を解せば!なんてのもかなり危険ですね。
しかも、刺鍼部位に対する緊急的反応の中に、傷の治癒、すなわち炎症反応があることが厄介。炎症反応の大きな特徴としては、周辺血管の拡張と血流量増加、発熱。発痛とか細かいのはさらっと割愛する。今回はこれが問題。先ほど書いたように神経過敏状態で、血管拍動でさえ激痛に繋がるのですから。
一般的な頭痛に対する鍼灸の処置として間違っていないだけに、困惑するものもいるのではないかと思います。今回いただいたメールの中の処置でもやはりこれがあり、刺鍼直後はよかったもののしばらくして痛みを訴え、のたうち回ったとありますが、これは血流量が増加したため。
一般的な頭痛に対する考え方として、頭蓋内外の血流量の増加と循環改善を図るのはよくある処置で、わりと効果的な考え方ではあるのですが。
それがうまくいかないタイミングがあるのがこのタイプの頭痛。
もっとも、合理的に処置するのならば、後頭神経ブロックを検討すべきケースで、麻酔科(ペインクリニック)もしくは頭痛専門外来の出番。
うちでの処置も痛み止めが処方された状態での処置が基本であり、うち3名は後頭神経ブロックでの治療を受けながら通院し治癒に至った。
この状態に関しては、激痛が非常に厄介なので、自信がないのであれば手を出さない、医師の治療を優先することが顧客の利益につながります。
ではうちでの例のうち公開した分についても質問があったので該当する部分についてお話します。
この件については、公開許可をいただけた理由の一つでもありますが、もともとうちの顧客です。以前にも頭痛とめまいでうちで施術を受けていた方なので、受けることになりました。
まず、CSFプラクティス、DRTについてお話しておきます、
CSFプラクティスはパーフェクトクラニオロジー協会 宮野博隆先生の考案した脳脊髄液の(CSF)循環を中心にからだをみて、からだに対して協調的刺激を用いて循環を促し、自己回復力の向上を図る方法。詳しくはパーフェクトクラニオロジー協会まで。
DRTは日本DRT協会 上原宏先生考案の上部頸椎カイロプラクティック由来の技術で、背部揺動を用いて、上部頸椎の自動調整を促し、からだの回復力向上を目指す方法。詳しくは日本DRT協会まで。
なんで鍼灸オンリーではなく、手技療法を組み合わせたかというと、泰心堂的には鍼灸処置のための下準備をするためです。
泰心堂の考え方では、頭が混乱(機能低下)しているので、神経過敏などの暴走を起こしていると考えているわけです。この頭が混乱した状態では、鍼灸の効果は激減します。混乱しているので神経刺激に対して誤作動、誤認識を起こし易いと考えるわけですね。
この状態のとき、宮野先生の言葉を借りると「頭が悪い」(頭部拡大状態、一次呼吸不調、脳脊髄液循環不良)わけで、頭の状態をよくしてからじゃないとからだの状態をちゃんと認識できず、どこがおかしいかもわからない状態のままになってしまう。だからなかなかよくならない。
そして、こういう状態のとき、上部頸椎に問題が生じていることが多い。特に今回のように頭と首の関係性において問題が出ている場合は顕著。DRT三大指標のうちC2圧痛が顕著に出る。
なので、これらの技を用いて下準備をしたうえで、
現状で変われる分だけ変わるように促すために、あえて1~2箇所の少数刺激に留めることで薄皮をはがすように無理なく自己変化、自己治癒を促すことを目的とした施術を繰り返した。
セラピーローカリゼーション(TL)はキネシオロジーを利用した原因―現象の因果関係の考察法でA→B、B→Aのようにどちらかを刺激して反応が解消するかをみながら調整個所を絞り込んでいく方法として使っています。カイロプラクティックをかじった人にはメジャー、マイナーを判断していくと言えばわかりやすいでしょうか。
で、だいたいメールでいただいた質問にはお答えしたと思いますのでこの辺で。
一回の施術時間もできるだけ短く、大きな変化を狙わないのがコツですね。
0コメント